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Law Practice民事訴訟法(第3版) 第6章①

  

  • 訴えの変更(143条)の種類

 → 訴えの追加的変更

 → 訴えの交換的変更(訴えの追加的変更+訴えの取下げ)

訴えの変更の要件

① 事実審の口頭弁論終結前であること(143条1項本文) 
② 請求の基礎に変更がないこと(同項本文) ※被告が同意あるいは異議なく応訴をした場合には不要となると解する。
③ 訴えの変更によって著しく訴訟手続を遅滞させないこと(同項但し書き)
④ 数個の請求が同種の訴訟手続によって審理されうるものであること(136条)、(法律上併合が禁止されていないこと、各請求について受訴裁判所が管轄権をもつこと)
 + 交換的変更の場合は、訴えの取下げの要件として⑤被告の同意があること(261条2項)

  •  通常共同訴訟

 通常共同訴訟とは、訴訟共同の必要も合一確定の必要もない共同訴訟形態をいう。すなわち、もともと別々の訴訟で解決されても差し支えない性質の事件が1つの手続に併合されているにすぎないものである。このようなことから、訴訟法的には共同訴訟人独立の原則(39 条)で規律されるが、実際には同一期日に審理がなされる以上、裁判所の事実認定も法の適用も共通のものとして行われる。すなわち、一般的には、通常共同訴訟人の全員に論理的に統一的な判決が出ることになる。判決の内容は統一的となり、審理は重複の無駄が省かれ効率的となる。ここに、通常共同訴訟の利点があるが、あくまでも事実上のものにとどまる。

・主観的併合要件

① 権利義務共通(同条前段):訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、つまり訴訟物が同一である、もしくは、訴訟の基礎となる法律関係に共通性があるときである。後者の例としては、主債務者と保証人を共同被告にする場合がある。
② 原因の共通(同条前段):訴訟の目的である権利又は義務が同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき、例えば、共同不法行為に基づく複数加害者への損害賠償請求である。
③ 権利義務同種(同条後段):訴訟の目的である権利又は義務が同種であって、事実上及び法律上の同種の原因に基づくとき、例えば貸金業者による複数借主に対する貸金返還請求訴訟がある。
④請求の併合の要件(同種の手続、 136 条)
⑤管轄権(38 条前段、7 条但書も参照)

・共同訴訟人独立の原則(39 条)

 共同訴訟人独立の原則とは、通常共同訴訟では、各共同訴訟人は他の共同訴訟人に制約されることなくそれぞれ独立に相手方に対する訴訟を追行する建前をいう。通常共同訴訟となるような場合は、本来個別訴訟を提起することも許され、その場合には他の共同訴訟人の牽制を受けることなく自由に訴訟追行をすることができるのであるから、共同訴訟の場合にも可能な限り同様に扱うべきという考えに基づく。各自独立に、請求の放棄・認諾、和解、訴えの取下げ、上訴、自白などができるし、その効果もその行為者と相手方との間にしか及ばない。1 人について中断・中止の事由が生じても、他の者には影響を与えない。裁判所は、ある共同訴訟人の訴訟についてだけ弁論を分離(152 条 1 項)し、また一部の者につき一部判決をすることもできる。

・共同訴訟人間の主張共通・証拠共通の原則

 共同訴訟人独立の原則が働く通常共同訴訟においても、共同訴訟人の 1 人が提出した証拠またはこれに対して提出された証拠は、他の共同訴訟人と共通あるいは関連する係争事実については、とくにその援用がなくても、事実認定の資料とすることができるとするのが判例・通説である。このような建前を共同訴訟人間の証拠共通という。これについては、①自由心証主義の下では、歴史的に1つしかない事実については、その認定判断(心証)も1つしかありえないと考えられること、②共同訴訟人の一方が提出した証拠であっても、他方の共同訴訟人はその証拠調べ手続に関わる機会が与えられているので、このような審理過程の実績から、共通利用が根拠づけられるとする。

 他方、共同訴訟人間の主張共通(1 人の共同訴訟人がある主張をし、他の共同訴訟人がこれと抵触する行為を積極的にしていない場合には、その主張が他の共同訴訟人に利益なものである限り、この者にもその効果が及ぶとする考え方)については、①他の共同訴訟人に「利益」かどうかは容易に判断することはできないこと、②一方が「特定の申立てや主張をしない」ことも、当事者の能動的な行動選択の1つであり、それを積極的行動をとった他者の訴訟行為に同化させてしまうのは疑問であること、③積極的な訴訟活動を行っていないにもかかわらず有利な判決を得る共同訴訟人が生じる可能性があるというのは、相手方に対して不意打ちとなりかねないことから、共同訴訟人間の主張共通については、否定すべきと解する。

  •  必要的共同訴訟

 必要的共同訴訟とは、訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定する必要のある共同訴訟をいう。必要的共同訴訟は、40 条の適用を受け、判決が合一にのみ確定するよう手続進行の統一と裁判資料の統一という特別の規律を受ける。同じ時期に同じ内容の判決を受けるように規律される(合一確定の必要から共同訴訟人独立の原則を修正)。

・固有必要的共同訴訟

 固有必要的共同訴訟とは、必要的共同訴訟のうち、合一確定のための審判規律を受ける上に、訴訟共同も必要とされる(全員が当事者となって初めて当事者適格が認められる)訴訟形態をいう。関係者全員が当事者となっていなければ当事者適格を満たさず、訴え却下となる。

 固有必要的共同訴訟とは、必要的共同訴訟のうち、合一確定のための審判規律を受ける上に、訴訟共同も必要とされる(全員が当事者となって初めて当事者適格が認められる)訴訟形態をいう。それでは、どのような場合に固有必要的共同訴訟となるか、明文上明らかでなく問題となる。そこで考えるに、民事訴訟は実体法上の権利の実現・処分のプロセスである以上、まずは実体法上の権利の性質ないし管理処分権の帰属の態様が考慮されるべきである。もっとも、当事者適格は訴訟追行権という訴訟上の権能に関わる問題でもある以上、紛争解決の実効性や訴訟経済等の訴訟政策的観点からの調整もなされるべきである。したがって、固有必要的共同訴訟となるかどうかは、実体法上の権利の性質ないし管理処分権の帰属態様を基準としながらも、訴訟政策的観点から調整を図り判断すべきと解する。

・類似必要的共同訴訟

  類似必要的共同訴訟とは、共同訴訟とすることが強制されるわけではないが、共同訴訟とされた以上は、合一確定が要請され勝敗が一律に決まらなければならない訴訟形態をいう。⇒どのような場合に類似必要的共同訴訟となるかについては、通説は、判決効(既判力、対世効)の拡張がある場合としている。

* 共同訴訟人の 1 人のした訴訟行為はそれが全員に有利なものであれば 1 人のしたものでも全員に効果を及ぼすが、不利なものは 1 人がしたのでは効果を生じず、効果を生じさせるためには全員でしなければならない(40 条 1 項)。ここに有利・不利というのは、勝訴判決に結びつきうるものが有利と称せられ、敗訴判決を招来しかねないものが不利と称せられる。より具体的には、手続をさらに展開させるもの(否認・出席等)が有利と判断され、手続をその限りで止めてしまうもの(自白・和解等)が不利と判断される。自白をしても他の争点との関係で勝訴することは十分あるが、自白は、当該争点に関する審理をそこで止めるので、不利な行為に分類される。1 人でも相手方の主張を争えば、全員が争ったことになり擬制自白の効果は生じない。共同訴訟人の 1 人でも期日に出席すれば全員が出席したものと同視され、期日欠席の効果は生じない。不利な行為の方は、自白、請求の放棄・認諾、和解、上訴権の放棄・取下げといったものであるが、1 人だけがしたのでは効果が生ぜず、全員でしなければならない。※ とはいえ、1 人のした不利な行為は、それ自体としての効果は生じないが、弁論の全趣旨として斟酌されることはありえる。

・訴えの取下げについて
 訴えが 1 人につき取り下げられると、全員が当事者となる(訴訟共同の必要がある)という固有必 要的共同訴訟の前提が崩れる(当事者適格を欠き訴え却下となる)ので、固有必要的共同訴訟では 1 人による又は 1 人に対する訴えの取下げは許されない。 他方で、類似必要的共同訴訟では、もともと訴訟共同の必要は存在しないのであるから、1 人 による又は 1 人に対する訴えの取下げは適法とされる (通説)。 
手続進行の統一:共同訴訟人の 1 人にでも手続の中断・中止の事由が生じれば、共同訴訟人全員につき手続が中断・中止となる(40 条 3 項)。一部の者のみ手続を先行させるというようなことはしない。 ⇒弁論の分離や一部判決も許されない。判決の確定も全員について上訴期間が経過するまで生じない。 共同訴訟人の相手方としては、共同訴訟人の 1 人に対して訴訟行為をすれば全員に対してしたことになる(40 条 2 項)。

・上訴について
 訴訟共同が要求される固有必要的共同訴訟においては、1 人が上訴すれば、全員に対する関係で判決の確定が遮断され、全訴訟が移審して、共同訴訟人全員が上訴人の地位につくと解されている(通説)。

・類似必要的共同訴訟人の一部が上訴した場合の他の訴訟人の地位(百選102)
 「まず、共同訴訟人の1人が上訴すれば、それにより原判決の確定は妨げられ、当該訴訟は全体として上級審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴しなかった共同訴訟人にまで及ぶと考える。そして、40条1項における「利益」に当たるとして、上訴人の地位に就くとも考えられる。このように解すれば、判決の矛盾判断は回避できる。しかし、類似必要的共同訴訟については固有必要的共同訴訟と異なり、訴訟共同の必要がない訴訟形態であり、全体として確定が遮断し、移審するという効果が確保されていれば足りる。また、上訴しなかった者まで訴訟費用を負担させるのは酷であるし、当事者の合理的意思に合致しない。そして、合一確定の要請は上訴の選択の際に承知していたというべきであるから、上訴しなかった者の既得的地位はそれほど重視しなくてもよいと考える。したがって、上訴しなかった者は上訴人とならない。」

 

 ***

 

第1 基本問題40 訴えの変更

1 本件 X の訴えの変更(143 条)は認められるか。

2 訴えの変更の要件を満たすかどうかについて、以下、検討する。

(1) 訴えの変更が認められるためには、まず、「請求の基礎」が同一であることを要する(143 条 1 項本文)。そこで、請求の基礎の同一性の意義が問題となる。

 この要件の趣旨は、訴えの変更によって被告の防御目標が予想外のものに変更されることによる不利益が生じないようにすることと、従前の訴訟資料を新請求の審理に利用して訴訟経済に資するようにすることにある。とすれば、請求の基礎の同一性は、①新旧両請求の利益関係・事実関係が社会生活上共通であって、かつ、②審理の継続的施行が正当化される程度に従前の裁判資料を新請求の裁判に利用できる場合に認められるものと解すべきである。(もっとも、かかる要件は、被告の利益保護のために要求されるものであるから、被告が同意あるいは異議なく応訴した場合には不要であると解される。)

 本件についてみると、甲家屋の引渡しおよび所有権移転登記を求める訴えと履行不能による損害賠償を求める訴えとでは、いずれにおいても、Y について本来の債務である甲家屋の引渡債務が成立していることが前提となることから、新旧両請求の利益関係が社会生活上共通しているということができる(①)。また、新旧両請求について契約の有効性が争点となることに加えて、この点に関する審理がある程度進んでいたのであれば、審理の継続的施行が正当化される程度に従前の裁判資料を新請求の裁判に利用できる場合にあたる(②)。

 したがって、本件では、「請求の基礎に変更がない」ものとして、請求の基礎の同一性の要件を満たす。

(2) 次に、「著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき」(143 条 1 項但書)とは、旧請求の審理に必要な時間と新請求の審理に必要な時間とを比較して、後者の方が著しく大きい場合をいう。

 本件についてみると、旧請求についての審判をするのに熟しつつあり、新請求の審理のために新たな裁判資料の収集を必要するというような事情がない限り、「著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき」にはあたらないというべきである。

(3) さらに、訴えの変更は、旧請求についての裁判資料が新請求の審理に利用されるので、請求併合の要件(136 条参照)を満たす必要があるところ、本件でもこの要件を満たす。

(4) 以上より、事実審の口頭弁論終結前(143 条 1 項本文)に書面によりなされている(143 条 2 項、3 項)X の訴えの変更は、認められる。

2 では、上記のように X の訴えの変更が要件を満たしている場合、裁判所は従前の請求をどのように扱うべきか。

 訴えの変更の態様には、旧請求を維持しながら、新請求を追加して旧請求との併合審判を求める場合(追加的変更)と、旧請求について審判を求めることをやめて、新請求についての審判を求める場合(交換的変更)があるところ、本件のX の訴えの変更は、甲家屋が消失したことで、従前の請求を履行不能による損害賠償を求める訴えに変更するというもので、訴えの交換的変更にあたる。そして、訴えの交換的変更の法的性質は、新請求を追加してその訴訟係属後に旧請求を取り下げるか、または放棄する複合的行為であると解される(261 条 2 項類推)ところ、この場合、Y が従前の請求の取下げについて同意しなければ、単に追加的変更として扱われることになる。

 その結果、裁判所は、新請求だけでなく、従前の請求についても本案判決(請求棄却判決)をすることになる。

第2 発展問題17 主観的追加的併合

1 本件訴訟における、X の Y2 を新たに被告に追加する旨の申立ては認められるか。

2 主観的追加的併合とは、訴訟の係属中に、第三者が当事者に対する請求の併合を求めたり、従来の当事者が第三者に対する請求の併合を求めることで、第三者が追加的に当事者となり、共同訴訟となる場合をいうところ、現行法上、主観的追加的併合を明文で認めたものとしては、当事者主導のものとして引受承継(50条)、第三者主導のものとしては、共同訴訟参加(52条)、独立当事者参加(47条)、参加承継(49条・51条)がある。
 もっとも、本件は、このいずれにも該当しない。そこで、明文なき場合にも主観的追加的併合を認めることができるか。この点について、主観的追加的併合が必ずしも訴訟経済に適うものではなく、かえって訴訟を複雑なものとし、訴訟遅延を招くおそれがあるものであることからすれば、当事者の権能としての明文なき主観的追加的併合は認められないと考えるべきである。もっとも、(仮に当事者の権能としての明文なき主観的追加的併合を否定しても、裁判所の裁量により主観的追加的併合が認められる余地はあるし、)当事者が新訴を提起し裁判所の裁量による弁論の併合(152条1項)を待つことも考えられる。

3 よって、明文の規定のない主観的追加的併合は認められない以上、本件訴訟において、X は Y2 を新たに被告として追加する申立てをすることはできない。もっとも、この場合、X としては、Y2 に対する別訴を提起した上で、Y1 に対する訴訟と口頭弁論を併合 (152 条 1 項)するよう裁判所に促し、裁判所の併合判断に委ねることができる。

※ 判例でしれっと主観的追加的併合を認めている(ようにみえるものがある)ため、「権能としての主観的追加的併合」は認められないが「裁判所がその裁量として主観的追加的併合を認めることはある」と理解しています。実務出てから詳しく調査しようと思います。或いは誰か教えてください。

第3 基本問題41 共同訴訟人独立の原則

1 本件は、「訴訟の目的である権利又は義務が…同一の事実上及び法律上の原因に基づく」(38 条前段)ものであるといえるから、X と Y1・Y2・Y3 の訴訟は、通常共同訴訟となると解すべきであるところ、この通常共同訴訟において、Y1・Y3 のみが、自身らはY2 が本件建物所有権を所得して以降、 X に賃料相当額の支払を続けてきた旨主張している。

2 通常共同訴訟(38条前段)には、共同訴訟人独立の原則(39条)が適用される。したがって、Y2が他の主張を援用しない限り、XY2間の訴訟に影響を及ぼさないのが原則である。しかし、かかる原則を貫くと、それぞれの判決がその内容において矛盾するおそれがある。そうすると、矛盾判決の回避という共同訴訟の利点は生かされなくなってしまう。そこで、共同訴訟人独立の原則を修正して、Y2の援用がなくとも他の主張をY2のためにもなされたものとみなすことができないか。
 すなわち、1 人の共同訴訟人がある主張をし、他の共同訴訟人がこれと抵触する行為を積極的にしていない場合には、その主張が他の共同訴訟人に利益なものである限り、この者にもその効果が及ぶとする考え方(主張共通の原則)をとることができないかが問題となる。

 しかし、これについては、①他の共同訴訟人に「利益」かどうかは容易に判断することはできないこと、②一方が「特定の申立てや主張をしない」ことも、当事者の能動的な行動選択の1つであり、それを積極的行動をとった他者の訴訟行為に同化させてしまうのは疑問であること、③積極的な訴訟活動を行っていないにもかかわらず有利な判決を得る共同訴訟人が生じる可能性があるというのは、相手方に対して不意打ちとなりかねないことから、共同訴訟人間の主張共通については、否定すべきと解する。また、そもそも、訴訟ごとに事実の主張を当事者の責任かつ権能とする弁論主義が妥当するところ、主張共通を認めるとかかる弁論主義に抵触する。さらに、主張共通を認めなくとも、裁判所の釈明権(149条1項)の行使により不都合な事態は回避できる。
 したがって、共同訴訟人間の主張共通は認められないと考える。

3 よって、Y2 が格別の主張もせず、口頭弁論を欠席し、答弁書も提出していない本件においては、裁判所は、Y2 の土地の不法占有によって X が被った損害は、Y1・Y3 が賃料を支払ったことにより補填されているとして、X の Y2 に対する請求を棄却することはできない。

第4 基本問題42 主観的予備的併合(同時審判申出共同訴訟)

1 本件で、X は Y1・Y2 に対して順位を付け、主位的被告 Y1 に対する請求認容を解除条件として、予備的被告 Y2 に対する請求に対する判決を求めるという、いわゆる主観的予備的併合の訴えをすることはできるか。

2 ここに、訴えの主観的予備的併合とは、実体法上両立しえない請求について、主位原告の、又は主位被告に対する請求認容を解除条件として、予備的に予備的原告の、又は予備的被告に対する請求の審判を求める併合形態をいう。

 予備的被告に対する訴訟は、主位被告に対する請求の認容判決が確定すれば、予備的被告の同意なしに遡及的に訴訟係属が消滅してしまうところ、予備的被告の地位は不安定なものとなる。また、原告の便宜に比べて不公平が生じることになる。さらに、共同訴訟人独立の原則が適用される結果(39条)、一方の上訴によって主位請求と副位請求との併合関係が解消されることになり、裁判所の判断が矛盾する可能性があるところ、これであれば、同時審判申出訴訟(41条)により、主観的予備的併合とほぼ共通の目的を達することができるのであるから、主観的予備的併合は認められないと考えるべきである。

3 以上より、本件においても、X は Y1・Y2 に対して順位を付け、主位的被告 Y1 に対する請求認容を解除条件として、予備的被告 Y2 に対する請求に対する判決を求めることはできない。

第5 基本問題43 固有必要的共同訴訟の成否(1):第三者から共同所有者に対する訴え

1 本件で、控訴審は弁論を再開することなく、控訴を棄却し、X 勝訴の判決を下すことはできるか。

2 仮に、本件訴訟が固有必要的共同訴訟でないとすれば、Y5 を欠いたまま、他の被告には判決を下してよいことになる。そこで、どのような場合に固有必要的共同訴訟となるかが問題となる。

(1) そこで考えるに、民事訴訟は実体法上の権利の実現・処分のプロセスである以上、まずは実体法上の権利の性質ないし管理処分権の帰属の態様が考慮されるべきである。もっとも、当事者適格は訴訟追行権という訴訟上の権能に関わる問題でもある以上、紛争解決の実効性や訴訟経済等の訴訟政策的観点からの調整もなされるべきである。したがって、固有必要的共同訴訟となるかどうかは、実体法上の権利の性質ないし管理処分権の帰属態様を基準としながらも、訴訟政策的観点から調整を図り判断すべきと解する。

(2) 本件についてみると、相続人である Y2 らの建物収去明渡義務はいわゆる不可分債務であるから、仮に請求が認められる場合には、土地所有者である X との関係では、各自係争物件の全部についてその侵害行為の全部を除去する義務を負うことになる。すなわち、土地所有者である X は、共同相続人である Y2 ら各自に対し、順次義務の履行を請求でき、必ずしも全員に対して同時に訴えを提起し、同時に判決を得ることを要しない。また、仮に固有必要的共同訴訟であるとすると、共同相続人の全部を共同の被告としなければ被告適格を有しないことになるが、そうすると、原告は、建物収去土地明渡義務があることについて争う意思を全く有しない共同相続人も被告としなければならず、争う意思のない一部被告が認諾し、または X がその者に対し訴えを取り下げることもできず、無用の手続を重ねなければならなくなる。さらに、建物の共同相続登記が未了で所有者が誰であるか不明であるとか、一部の者が所在不明であるなど、共同相続人全てを被告とすることが酷な場合もある。他方で、通常共同訴訟であると解したとしても、土地所有者は、共同相続人各自に対して債務名義を取得するか、あるいはその同意を得たうえでなければ、その強制執行をすることが許されないのであるから、固有必要的共同訴訟ではないと解することが、直ちに被告の権利保護に欠けるものではない。

(3) したがって、以上のような実体法上の観点及び訴訟政策的観点を考慮すると、本件訴訟は固有必要的共同訴訟ではないというべきである。

3 よって、控訴審は弁論を再開することなく控訴を棄却し、X 勝訴の判決を下すことができる。

第6 発展問題18 固有必要的共同訴訟の成否(2):入会権確認訴訟

1 本件で、X らは、自身らだけで、入会権を有することの確認を求めて訴えを提起することはできるか。

2 入会権確認訴訟が固有必要的共同訴訟であるかが、その判断基準と関連して問題となる。

(1) ここに、固有必要的共同訴訟とは、必要的共同訴訟のうち、合一確定のための審判規律を受ける上に、訴訟共同も必要とされる(全員が当事者となって初めて当事者適格が認められる)訴訟形態をいう。そして、どのような場合に固有必要的共同訴訟となるかについては、民事訴訟は実体法上の権利の実現・処分のプロセスである以上、実体法上の権利の性質ないし管理処分権の帰属の態様を考慮して判断すべきと解する。

(2) 本件についてみると、入会権は一定の村落住民の総有に属するものであり、総有に関わる財産は権利者が共同して1つの権利を処分しなければならないため、その財産に関する訴訟は固有必要的共同訴訟となる。

(3) したがって、本件入会権確認訴訟は固有必要的共同訴訟であり、訴訟共同の必要があるため、構成員全員で訴えを提起しなければならないのが原則である。

3 もっとも、このように解すると、入会権確認訴訟において、原告側で 1 人でも提訴に同調しない者がいる場合、当事者適格を欠いて訴え却下となり、その他の者は適法に訴えを提起することができなくなる。

 そこで、このような場合には、①他の者の訴権が実質的に否定されてしまうようなことを防止する必要があること、また、②原告になることを拒んだ者の利害は、被告側の利害と共通するといえ、利害の分布状況が一致することから、Xは、非同調者であるZらを被告として訴え提起することも可能と解すべきである。

4 よって、本件でも、X らは、Y 及び提訴することに同調しない Z1~Z30 を被告として、入会権確認訴訟を提起することができる。

第7 発展問題19 固有必要的共同訴訟の成否(3):遺産確認訴訟

1 X としては Y を被告として本件土地の遺産確認の訴えを提起することが考えられるところ、そもそも、X は Y を被告として本件土地の遺産確認の訴えを提起することはできるか。

(1) 相続人には、Y および X のほか、BC もいることから、仮に遺産確認の訴えが固有必要的共同訴訟であるとすると、当事者適格を欠くことになる。

(2) 民事訴訟は実体法上の権利の実現・処分のプロセスである以上、固有必要的共同訴訟であるかの検討に当たっては、まずは実体法上の権利の性質ないし管理処分権の帰属の態様が考慮されるべきである。もっとも、当事者適格は訴訟追行権という訴訟上の権能に関わる問題でもある以上、紛争解決の実効性や訴訟経済等の訴訟政策的観点からの調整もなされるべきである。したがって、固有必要的共同訴訟となるかどうかは、実体法上の権利の性質ないし管理処分権の帰属態様を基準としながらも、訴訟政策的観点から調整を図り判断すべきと解する。

 遺産確認の訴えといった共有者相互間の訴訟においては、共有者全員の有する一個の管理処分権をめぐる争いが展開される。そうすると、共有者全員を当事者とする形で手続保障を図ることが不可欠である。 ※ 遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象である財産であることにつき既判力をもって確定し、これに続く遺産分割審判の手続及び右審判の確定後において、当該財産の遺産帰属性を争うことができないとすることにより紛争解決に資するものである。

 したがって、遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟であると解する。

(3) 以上より、遺産確認の訴えは固有必要的共同訴訟であり、訴訟共同の必要があるため、X は、仮に BC が同調しない場合、相続人全員が訴訟に関与していれば、同調しない者の手続保障はその限りにおいて図られているといえるため、X は BC を Y と共に被告に加えて訴えを提起することになる。

2 もっとも、この場合、本件訴訟につき確認の利益が認められるかが別個問題となる。

(1) 確認の利益は、紛争解決の必要性・実効性がある場合に限り認められると考える。具体的には、確認対象の適否、即時確定の利益の存否、方法選択の適否により判断すべきと考える。

(2) まず、遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、現在の法律関係を確認するものとして、対象選択の適切性が認められる。

 また、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象たる財産であることを既判力をもって確定し、これに続く遺産分割の手続において及びその審判の確定後に当該財産の遺産帰属性を争うことを許さないという意味で、紛争が蒸し返される可能性を遮断し、原告の意思に適った紛争の解決を図ることができるため、方法選択の適切性も認められる。

 さらに、本件では、Y が X の地位や遺産帰属性について争っているものと考えられ、即時確定の必要性も認められる。

(3) よって、本件遺産確認の訴えには確認の利益が認められる。

3 以上より、本件遺産確認の訴えは、X が BC を Y と共に被告に加える限りで、適法であるといえる。

第8 発展問題20 類似必要的共同訴訟

1 X1〜X3がA県に対して提起した住民訴訟と、X4〜X6がA県に提起した住民訴訟は、合一確定が要請され、これらを別個に進行させることは許されないのではないか。

(1) 本件訴訟が「共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」(40条1項)に該当するかが問題となる。

(2) ここで、「合一にのみ確定すべき場合」とは、訴訟の目的である権利又は法律関係についての判決内容が各人に区々別々になってはならない場合、即ち、本訴の判決の効力が判決の効力が共同訴訟人全員に及ぶ場合にも及ぶ場合をいうと考える。

 本件訴訟は、住民訴訟地方自治法242条の2)であり、普通地方公共団体の財務行政の適正な運営を確保して住民全体の利益を守るために、当該普通地方公共団体の構成員である住民に対し、公益の代表者として同条1項各号所定の訴えを提起する権能を与えたものであり、同条4項が、同条1項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもって同一の請求をすることができないと規定しているのは、住民訴訟のこのような性質にかんがみて、複数の住民による同一の請求については、必ず共同訴訟として提訴することを義務付け、これを一体として審判し、一回的に解決しようとする趣旨に出たものと解される。そうであれば、住民訴訟の判決の効力は、当事者となった住民のみならず、当該地方公共団体の全住民に及ぶものというべきである。

(3) よって、複数の住民の提起した住民訴訟は、「共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合」に該当する。なお、地方自治法242条の2第1項は、「普通地方公共団体の住民」に当事者適格が認められるとしており、住民全員での提訴を必要としていないから、住民訴訟の場合は、いわゆる類似必要的共同訴訟となると解するのが相当である

(4) したがって、上記2つの住民訴訟を別個に進行させることはできない。

2 では、類似必要的共同訴訟の場合、訴訟開始後にX4が死亡した場合の処理はどのようになされるべきか。

(1) 本件のような必要的共同訴訟においては、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずることになる(40条3項)。

(2) そうすると、X4の死亡は、訴訟の中断事由である「当事者の死亡」(124条1項1号)にあたり、訴訟代理人がいる場合(124条3項)を除き、相続人等が受継するまで中断することになるところ、X4の死亡は、訴訟の中断事由である「当事者の死亡」(124条1項1号)にあたる。

(3) よって、この場合、X4に訴訟代理人がいる場合(124条3項)を除き、訴訟の全部が、相続人等が受継するまで中断することになる。

3 では、類似必要的共同訴訟の場合、上告しなかったX2、訴えを取り下げたX5の訴訟上の地位はどのようになるか。

(1) まず、共同訴訟人の1人が上訴すれば、それにより原判決の確定は妨げられ、当該訴訟は全体として上級審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴しなかった共同訴訟人にまで及ぶと考えるべきであるところ、類似必要的共同訴訟は固有必要的共同訴訟と異なり、訴訟共同の必要がない訴訟形態であり、全体として確定が遮断し、移審するという効果が確保されていれば足りるし、合一確定の要請は上訴の選択の際に承知していたというべきであるから、上訴しなかった者の既得的地位はそれほど重視しなくてもよいと考える。また、そもそも、上訴しなかった者にまで訴訟費用や訴訟にかかる時間を負担させるのは酷であるし、当事者の合理的意思に合致しない。

 したがって、上訴しなかった者は上訴人とならないと解すべきである。

(2) 同様、類似必要的共同訴訟においては、もともと訴訟共同の必要は存在しないのであるから、上訴の取下げは適法であり、共同訴訟人も、上訴審判決の名宛人とはならないと解すべきである。

(3) よって、上告しなかったX2 も、取下げをしたX5も上告人の地位を有しないことになる。