○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

Law Practice民事訴訟法(第3版) 第7章

 

第1 基本問題49 上訴の利益

1 本件で、Y は請求棄却を求める控訴をすることはできるか。Y に上訴の利益が認められるかが問題となる。

2 上訴の利益については、基準の明確性の見地から、原審における当事者の申立とその申立に対して与えられた原裁判とを比較して、後者が前者におよばない場合に上訴の利益が認められる。

 本件についてみると、第 1 審は売渡担保ではあるが、被担保債権はまだ残っているとして請求棄却判決を下している。Y は真実の売買であることを認定して欲しかったのであるから、判決理由中の判断に不服があることになるが、このような判決理由に既判力(114 条 1 項)が生じるわけでもないので、第 1 審で請求棄却判決が下されている以上、当事者の申立てと判決とを比較し、後者が前者よりも小であるとはいうことができない。

3 したがって、Y には上訴の利益が認められないので、Y は請求棄却を求めて控訴を提起できない。

第2 発展問題22 不利益変更禁止

1 本件第 1 審が、Yの予備的相殺の抗弁を容れて、X の請求を棄却したのに対して、X のみが控訴しているところ、控訴審における審理の結果、X の貸金債権はそもそも存在しないと判断した場合、控訴審はどのような判決ができるか。

2 まず、そもそも控訴審が訴求債権の存否を審理することはできるのかが問題となる。

(1) 控訴審の審理および判決は当事者の不服申立ての限度で行われる(296 条 1 項、304 条)。

(2) それゆえ、1 審で予備的相殺の抗弁が容れられて、原告のみが控訴する場合、原告は、訴求債権の不存在に対して不服申立てをしているから、訴求債権の存否を控訴審の審理範囲から除外することはできない。 (※ また、被告が不服申立てをしなかったことからは、反対債権の不存在について生じる既判力を争わない意思を持つといえるにとどまり、理由中で示された相殺時における訴求債権の存在を認めた判断の当否を審理範囲から除外する意思を有していたとはいえない。)

(3) したがって、第 1 審で予備的相殺の抗弁を容れて請求棄却判決が下されたときに、原告のみが控訴した場合、反対債権の存否だけでなく、訴求債権の存否についても審理対象となると解する。よって、本件控訴審では、Y の反対債権だけでなく、X の貸金債権の存否も審理の対象となる。

3 このように控訴審で X の貸金債権の存否についても審理の対象となるとしても、控訴裁判所が X の貸金債権はそもそも存在しないと判断した場合、その判断内容どおり原判決を取り消して、改めて請求棄却判決をすることは、不利益変更禁止の原則(304 条)に反しないかが問題となる。

(1) 不利益変更禁止の原則とは、相手方の控訴または附帯控訴がないかぎり、控訴人の不利に第 1 審判決の取消しまたは変更をすることはできないことをいう。

(2) ここで、訴求債権の存在と反対債権の存在を認め、相殺の抗弁を容れて、原告の請求を全部棄却した原判決が確定すると、既判力は訴求債権の不存在の判断(114条 1 項)と反対債権の不存在の判断(114 条 2 項)に生じることになる。

 他方、控訴裁判所が訴求債権はもともと存在しないと判断する場合、その判断内容どおり原判決を取り消して改めて請求を棄却すると、請求棄却の判決主文は原判決と同じであるが、既判力は訴求債権の不存在の判断(114 条 1 項)にのみ生じることになる。

 すなわち、原判決を取り消して、訴求債権の不存在を理由に原告の請求を棄却すると、反対債権不存在の既判力が生じないので、控訴した原告に不利に判決を変更することになる。
(3) したがって、控訴裁判所が貸金債権の存在を認めない場合、その判断内容どおり原判決を取り消して、改めて請求棄却判決をすることは、不利益変更禁止の原則に反し許されないと解する。

4 よって、本件においても、控訴裁判所は、被告の主張した相殺の抗弁を採用した第 1 審判決を維持し、控訴棄却の判決をするにとどめるべきである。このような帰結は、Y が控訴または附帯控訴をしなかったために生じるものであり、やむを得ない。

第3 発展問題23 独立当事者参加と上訴 ※正直よくわからん。

1 控訴審は Z ではなく X が所有権を有すると判断する場合、Z の Y に対する請求を棄却することはできるか。

2 前提として、上訴していない敗訴者に係る判決も他の敗訴者の上訴により確定が遮断され、移審するかが問題となる。

 独立当事者参加においては、合一確定の要請から、一人の上訴により、全判決の確定が遮断され、上級審に移審すると解されている。

 よって、本件でも、X の控訴によって、X から Y に対する請求および Z から X に対する請求だけでなく、Z から Y に対する請求についても確定が遮断され、移審することになる。

 そして、その場合、上訴しなかった当事者が上訴人とされてしまうと、上訴した者は単独で上訴を取り下げることができなくなってしまい(40条1項準用)、上訴当事者の意思に反すること、また、争う意思なく主体的に上訴しなかった者を上訴人とすることは、その者の意思に反すること、さらに、敗訴した場合には、上訴費用を負担すべきこととなるが、これは不当であることから、40条2項準用により、上訴しなかった者は被上訴人にとどまるものと考える。

3 次に、Y の不服申立てがない本件において、Z から Y に対する請求を棄却することはできるか。すなわち、仮にこれを認めるとすれば、利益変更禁止の原則(304 条)に反するのではないかが問題となる。

(1) たしかに、上訴しなかった者は被上訴人になると解されるにすぎないことからすれば、この者に有利な判決をすることは不利益変更禁止の原則に反し、できないようにも思える。しかし、このように解すると、合一確定により、多面的紛争を一挙に矛盾なく解決しようとした独立当事者参加制度の趣旨に反するおそれがある、そこで、不利益変更禁止の原則が合一確定の要請から修正され、上訴審は、合一確定に必要な限度で上訴しなかった者の敗訴部分をこの者の有利に変更することができると考える。

(2) 本件では、ZのYに対する請求を棄却に変更しないとXのYに対する請求も認容した以上、同一物につき(共有でない限り)Xも乙も所有権をもち、両者ともYに対し引渡しの強制執行ができることになる。そうすると、このような矛盾を解消するための、合一確定に必要な限度との変更として、ZのYに対する請求を認容する判決を、棄却に変更する必要がある。

(3) よって、このような変更は利益変更禁止の原則に反するものではない。

4 それでは、Y のみが控訴し、控訴審が Z ではなく、X に所有権があるとの心証をもった場合には、どのような判決をすべきか。

 この場合、控訴する Y は、X のYに対する請求棄却には不服はない。このような場合、合一確定の必要の限度で変更できるといっても、変更はできないものと解すべきである。

 したがって、控訴裁判所は、Z から Y に対する請求を棄却し、X の Y に対する請求棄却判決は維持すべきである。

第4 基本問題50 破棄判決の拘束力

1 本件で、破棄理由とされた判断につき差戻審が審理判断しないまま、他の理由で判決を下すことはできるか。

2 差戻しまたは移送を受けた裁判所は、事件につき裁判をするにあたり、上告裁判所が破棄の理由とした事実上および法律上の判断に拘束される(325 条 3 項後段、裁判所 4 条)。そして、拘束力が生じる法律上の判断とは、破棄の理由において否定された原判決の法律問題に関する判断をいう。拘束力は、上告裁判所において否定された法律上の判断を、差戻し後の裁判所が繰り返すのを避けるために認められるから、破棄の直接の理由となった否定的判断につき生じるのが原則である。そして、差戻し後の裁判所は、拘束力ある否定的判断に抵触しなければ、他の法的見解に基づいて裁判をすることも可能であると解する。

 本件についてみると、上告審の破棄理由である判断は、同一確定事実については民法 94 条 2 項の類推適用を否定することはできないという限度でのみ拘束力を有する。したがって、差戻前の原判決と同一の認定事実を前提としても、94 条 2 項の類推適用の他に、別個の法律的見解が成り立ちうる場合には、差戻後の原審は、他の法律上の見解に立って、X の請求を棄却することも許される。

3 よって、差戻審が、破棄理由とされた移転登記手続行為につき Y2 が民法 94 条 2 項の善意の第三者に当たるかどうかを審理することなく、全く別の民法 100 条、177 条を適用した判決をすることは許される。

第5 発展問題24 補充送達と再審

1 X は、前訴判決の確定から 2 年後に、再審の訴え(338 条 1 項本文)を提起することはできるか。

2 前提として、本件においてなされた補充送達(106 条 1 項)は有効か。

(1) 本件では、連帯保証人である X の受け取るべき訴状等は、全て同居する主債務者である A が受領しているところ、このような事実上の利害関係がある者が受け取る補充送達(106 条 1 項)も有効な送達として認められるかが問題となる。

(2) ここで、106 条 1 項は、就業場所以外の送達をすべき場所において送達を受けるべき者に出会わないときは、使用人その他の従業者又は同居者であって、書類の受領について相当のわきまえのある者に書類を交付すれば、受送達者に対する送達の効力が生じるものとしており、その後、書類が同居者等から受送達者に交付されたか否か、同居者等が交付の事実を受送達者に告知したか否かは、問題としていない。また、実際上も、事実上の利害関係の存否によって送達の効力が左右されるとすると、送達実施機関が同居人等につき事実上の利害関係の有無を判断しなければならなくなり、送達制度の実効性を著しく欠くことになり妥当でない。そこで、受領権限があるかどうかは外見から客観的に判断されるべきで、受送達者と同居者等との間に事実上の利害関係があったとしても、「相当のわきまえのある者」に交付すれば、補充送達は有効であると解する。

 本件についてみると、X は自らの意思で A の債務について連帯保証をしたことはなく、A が X に無断で X の印章を持ち出して連帯保証契約を締結したという点で、X と A との間には事実上の利害関係の対立がある。もっとも、A は送達の趣旨を理解して交付を受けた書類を受送達者に交付することを期待することができる程度の能力について問題なく認められるのであるから、外見上客観的に「相当のわきまえのある者」に対して書類を交付したものといえる。

(3) よって、補充送達は有効であったというべきである。

3 では、このように補充送達が有効である場合にも、X は再審の訴えを提起することはできるか。

(1) 338 条 1 項 3 号は、当事者に手続関与の機会がなかった場合に、再審によって救済を与えることを趣旨とするものであるところ、たとえ補充送達が有効であったとしても、受送達者と同居者にその訴訟につき事実上の利害関係の対立があるために、同居者から受送達者に訴状等を速やかに交付することが期待できず、実際にも交付されなかったときは、受送達者が訴訟手続に関与する機会を与えられなかったといえるため、同条同号の再審事由が認められると解する。

(2) これを本件についてみると、前記のとおり、X と A には事実上の利害関係の対立があり、X の受け取るべき訴状等は全て同居する A が受領している。そして、実際にも A から X へ訴状等が交付されたという事実は認められないため、X は訴訟手続に関与する機会を与えられなかったといえる。

(3) したがって、X は、自分の意思で A の連帯保証をしたことはなく、A が X に無断でしたことであると主張して、前訴判決の確定から 2 年後に、再審の訴え(338 条 1 項本文)を提起することはできる(342 条 3 項)。

第6 発展問題25 確定判決の無効

1 X らは、Y に対して、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟(後訴)を提起しているところ、前訴では、Y の X らに対する損害賠償請求訴訟(前訴)において、請求認容判決が言い渡され確定している。 

2 後訴は、実質的に既判力に抵触するものであるとして許されないのではないかを検討する前提として、まず、前訴判決の既判力(114 条 1 項)が後訴にどのように作用するかが問題となる。

(1) ここに、既判力とは、確定判決の判断に与えられる通有性ないし拘束力をいう(114 条 1 項)。既判力が生じるのは、原則として訴訟物の存否についての判断であることから、それが実際に後訴において作用するのは、後訴の訴訟物と前訴の訴訟物とが次のような関係にある場合である。すなわち、①後訴の訴訟物が前訴の訴訟物と同一の場合、②前訴の訴訟物が後訴の訴訟物の先決問題となっている場合、③前訴と後訴の訴訟物が矛盾対立関係に立つ場合である。

(2) 本件についてみると、X の Y に対する不法行為に基づく損害賠償請求を認容するためには、前訴既判力の基準時において、Y が X に対して損害賠償請求権を有しないことが論理的前提となる以上、Y の損害賠償請求権を認めた前訴判決と後訴における X の損害賠償請求とは矛盾対立関係にあり、③の場合にあたる。

(3) したがって、再審(338 条 1 項本文)によって前訴確定判決が取り消されない限り、X の後訴請求は、前訴確定判決の既判力に抵触することになるのが原則である。

3 そこで、判決の成立過程における相手方の不法行為を理由として、その判決の既判力ある判断と実質的に矛盾する損害賠償請求をすることは、確定判決の既判力による法的安定を著しく害する結果となるから、原則として許されないと解する。

(1) もっとも、本件では、前訴判決は前訴において Y が虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔して取得したものであるから、再審を経ることなく確定判決の無効を後訴で主張することは許されないか。確定判決の不当取得に対する救済策として、当該判決を再審によって取り消すことなく不法行為に基づく損害賠償請求訴訟等によって救済を認めることはできないかが問題となる。

(2) これについては、①訴訟当事者が相手方の権利を害する意図の下に、作為または不作為によって相手方が訴訟手続に関与することを妨げ、あるいは、②虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔するなどの不正な行為により、本来ありうべからざる内容の確定判決を取得しこれを執行した場合のように、その行為が著しく正義に反し、確定判決の既判力による法的安定の要請を考慮してもなお容認し得ないような特別の事情がある場合には、例外的に、当該判決を再審によって取り消すことなく不法行為に基づく損害賠償請求をすることができるものと解する。

 本件についてみると、前訴判決は前訴において Y が虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔して取得したものであるから、虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔するなどの不正な行為により、本来ありうべからざる内容の確定判決を取得した場合ということができる。

(3) したがって、X らは、例外的に、当該判決を再審によって取り消すことなく不法行為に基づく損害賠償請求をすることができる。

4 よって、裁判所は、後訴を適法な訴えと認め、不法行為に基づく損害賠償請求についての本案審理を進めることになる。

 

 力尽きた!独立当事者参加と上訴は毎回わかったためしがない!