○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

平成30年司法試験民事系第1問(民法)

 

整理(設問1について)

①B→A 売買契約に基づく代金支払い請求

②A←B 同時履行の抗弁権(問題文において既に主張している) ※従前は履行不能の抗弁はおよそ出し得なかった(特定により危険が買主に移転するから)

③B→A a. 履行不能+売主の免責事由(若しくは買主の帰責事由)の再抗弁、若しくは、b. 履行不能(のみ)の再抗弁

※③において履行不能(のみ)の再抗弁をとった場合、A→B「損害賠償との同時履行の再々抗弁」、若しくは「解除」の再々抗弁を主張することになる。そこで、B→A「免責事由の再々々抗弁(または買主の帰責事由の再々々抗弁)」を主張することになる。

 しかし、売主が、「履行不能」を主張すれば、そもそも牽連性の原則からすれば売主の請求は成り立たないはずであることからすると、売主は、再抗弁として、「履行不能」に加えて、「売主の免責事由」または、「買主の帰責性」を主張すべきである。

 

 ***

 

第1 設問1について

1 BのAへの本件売買契約(民法(以下法名略)555条)に基づく50万円の代金支払請求は認められるか。

(1)  AB間では売買契約が締結されている。そのため、Bの代金支払請求は認められるのが原則である。

(2) もっとも、Aは、抗弁として、Bの松茸引渡債務との同時履行(533条)を主張している。

ア では、これは認められるか。本件において、Bは、引渡しの準備をし、電話で連絡をし、以て、通知したうえで、弁済の提供(492、493条)をしている。そこで、その効果として同時履行の抗弁権は消滅しているのではないかが問題となる。

イ しかし、そもそも533条の趣旨は、履行上の牽連関係を認めることで当事者間の公平を図る点にあるところ、両債務が未だ存する以上は履行上の牽連性を維持する必要があるし、一度提供しさえすれば他方当事者が無条件に履行しなければならないとするのは公平を欠く。したがって、双務契約の当事者の一方は相手方の弁済の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権は消滅するものではないと解すべきである。

ウ よって、Aは、同時履行の抗弁権を行使することができる。

(3) そこで、Bとしては、①本件売買契約の目的物である松茸5キログラムが特定した後、滅失し、松茸の引渡請求が履行不能となったこと(412条の2第1項)、及び、②その履行不能は、買主の帰責事由に基づくものであるということを再抗弁として主張することが考えられる。

ア 目的物が特定したといえるためには「債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し」た(401条2項)ことが必要である。そしてこのためには、債務者が給付の完了のために自らすることができることを全てしたことを要する。そして、Bの債務は取立債務であることから、目的物を分離して引渡準備を完了しその旨を通知した場合には、Bは自らできる行為をすべてしたといえ、目的物の特定が認められるところ、本問では、Bは、本件売買契約の約定に合う松茸5キログラムの箱詰めを終え、直ちに、引渡準備が整った旨をAに電話で連絡しているから、目的物の特定が認められる。そして、その後、本件松茸は、盗難により滅失しており、松茸の引渡請求は履行不能となっている(①)。

※ 改正前民法下では、「種類債権の特定があると、それ以降に目的物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失・損傷したときの対価危険は、債権者が負担するとされていたことからこのような危険の債権者への移転という強力な効果が特定により発生することを考慮すると、取り立て債務における特定は厳格に考えるべきであり、従って、特定が生じるには目的物の分離が必要であって、文理がなければ特定は絶対に生じない」と考えられていた。もっとも、改正民法下では、「目的物の滅失損傷に関する危険の移転を特定から切り離し、引き渡しに結び付ける規律を採用し、売買の箇所に明文の規定を置いて、特定された目的物について引渡以後に生じた当事者双方の責めに帰することができない事由による目的物の滅失損傷の危険を買主が負担するもの」としている。したがって、改正民法のもとでは、「①給付危険と対価危険がともに引き渡し時に売り主から買主へと移転するとされたことから、②特定は危険移転の前提として必要ではあるものの危険の移転を特定の効果であるということはできなくなったし、③特定のために分離が必要とされる理由は、もはや危険の移転という観点から正当化することができなくなった。それゆえ、改正前民法下の通説が採用していた理論、すなわち、種類債権の特定には債権者への危険の移転という重大な効果が結び付けられているために特定があったといえるためには分離が必要であるという理論は現行民法のもとではもはや成り立たない」といえる。むしろ、改正法下では、「債権権法全体を通して契約及び取引上の社会通念に趣旨に照らした契約規範の確定という姿勢を色濃く反映していることからすれば、特定の有無を判断するにあたり、種類債権の発生原因である個々の契約の内容に即してみたときに特定に結びつけられた効果(所有権の移転、保存義務の軽減、例外的な変更権、危険移転の前提条件の充足)を両当事者に与えるのがふさわしいのは債務者によってどのような行為がされた場合であるのかを探求するのが適切である。そこで、個物が客観的物理的に分別分離されているかどうかで判断するのではなく、個々の契約の内容に即してみた時に、特定に結びつけられた上記の効果を両当事者に与えるためには当該債権の履行対象の選別としてどこまでのことをすることが求められているのかという観点から判断すべきである。」

イ そして、①については、a. 受領遅滞中に、 b. 債務者の責めに帰することができない事由による履行不能が生じた場合に、認められる(413の2第2項)。

 本件松茸の滅失は上記の通りBによる弁済の提供(493条ただし書)があった後、Aが「債務の履行を…受けることができな」かった(413条1項)ことに起因する。それゆえ履行不能は受領遅滞中に生じたものであるといえる(a)。

 では、本件松茸の滅失による履行不能は債務者の責めに帰することができない事由によるものと言えるか。特定物の引渡しの場合の注意義務は原則として善管注意義務であるとされる(400条)が、受領遅滞があった場合には、その効果として、これは「自己の財産に対するのと同一の注意」に軽減される(413条1項)。そこで、Bが、「自己の財産に対するのと同一の注意」をもって、本件松茸を保管したといえるか検討する。本件において、Bは、Cを雇い松茸を保管させている。Bは毎年雇用し信頼を置いているCを雇用しているのであり、そのうえで、BはCに乙倉庫を離れるときには普段よりもしっかり施錠するよう指示までしていたのであるから、これを以て、「自己の財産に対するのと同一の注意」を基準とする不注意があったということはできない。もっとも、本件では、収穫や乙倉庫の管理は、BのAに対する債務の履行に必要不可欠であるところ、それを手伝うCは債務の履行過程に組み込まれた履行補助者であるといえる。それゆえ、Cをして、「自己物に対するのと同一の注意義務」を果たせていたといえるかが問題となる。これを本件についてみるに、確かに、収穫作業道具を取り出すため乙倉庫に入ったCは、同月22日午前7時頃、前日の夜にBから受けた指示をうっかり忘れて、簡易な錠のみで施錠して乙倉庫を離れている。しかし、本件において、Bは、売買契約に基づきAに対して引き渡す商品だからこそ、厳重な施錠を指示していたのである。そうすると、厳重な施錠を忘れ簡易な施錠しかしていなかったとしても、少なくとも自己物に対するのと同一の注意義務は果たしていたといえる。したがって、本件松茸の滅失は、Bの責めに帰することができない事由によるものである(b)。

 以上から、本件松茸の滅失による履行不能は、「債権者の責めに帰すべき事由によるもの」とみなされる。

4 そして、この場合、「債権者は、反対給付の履行を拒むことができな」い(536条2項)ことになり、同時履行の抗弁権も排斥されることになる結果、Bの本件売買契約に基づく代金支払請求は認められる。

第2 設問2について

1 (1)について

(1) Eのトラックの撤去請求は、丙土地の所有権に基づく妨害排除請求権としての甲トラック撤去請求であるところ、妨害排除請求権の相手方は、現に権利の実現を妨げている者又はその妨害状態を除去し得べき地位にある者であるのが原則である。

 そして、所有権は、全面的な支配権であって、所有者は、その所有物について使用、収益及び処分をする権利を有し、動産による妨害状態を除去し得ベき地位にある者といえるから、原則として、妨害を惹起している物の所有者が、妨害排除請求権の相手方となると考えるべきである。

(2) ところが、Dは、Aとの間で所有権留保売買契約をしたことにより、債権担保の目的で所有権を有するにすぎない。このような場合にまで、Dは、妨害を排除すべき義務を負うか。

 上記の通り、妨害を惹起している物の所有者が妨害排除請求権の相手方となるのは、動産による妨害状態を除去市うべき地位にあるためである。そうであるとすれば、甲トラックの売買契約によれば、Dは、残債務弁済期の経過後に限り、当該動産を占有し、処分することができる権能を有する者なのであるから、特段の事情がない限り、弁済期到来前は、妨害排除請求の相手方に当たらないと解すべきである。

(4) 本問では、Aは、平成27年12月以降毎月、遅滞することなく、Dが指定した銀行口座に4万円を振り込んで代金を支払っているのだから、期限の利益を喪失しておらず、残債務弁済期は、未だ到来していない。また、本問では、特段の事情も認められない。したがって、Dは、現に権利の実現を妨げている者又はその妨害状態を除去し得べき地位にある者には当たらない。

(5) 以上から、アのDの発言は正当である。

2 (2)について

(1) 上記のように、妨害排除請求権の相手方は、現に権利の実現を妨げている者又はその妨害状態を除去し得べき地位にある者であるのが原則である。

 しかし、判例には、建物があることでその下の土地上に妨害状態が作出されている場合には、たとえその建物を他に譲渡しその建物の実質的所有者でない者であっても、その建物につき自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由したというような場合には、引き続きその登記名義を保有する限り、建物収去土地明渡義務を免れることはできないとしたものがある。

 その理由としては、①登記を移転していない以上、譲渡人はいまだ確定的に所有権を失っていないといえること、②土地所有者と建物の登記名義人の関係は建物についての物権変動における対抗関係(177条)類似の関係ということができること、また、③このような者には登記懈怠の非難を向けることができること、他方、④土地上建物の実質的所有者が誰であるかを容易に知り得ない土地所有者に酷であることにあると考えられる。

 そこで、Eとしては、a. 債権担保の目的で自動車を所有し、自動車登録(道路運送車両法5条1項)を有している者は、客観的には確定的に自動車の所有権を有しているということができること、また、b. 上記対抗関係類似の関係も存在していることをあげたうえで、c. ④の理由については本件にも妥当することを主張し、甲トラックの登録名義を有するDが妨害排除の相手方となる、と主張しているものと考えられる。

(2) これに対して、イのDの発言は、本件法理が甲トラックの撤去義務を巡る法律関係には妥当しないことをいうものである。では、以上の点についてどのように解すべきか。

 確かに、Dは自らの意思で甲トラックの登録名義を得たままでいる。それゆえ、abの理由は妥当しよう。また、それゆえに、Eは、実質的な所有者であるAの所在を把握することができないままでいるから、cの理由も本問では妥当する。

 しかし、Dが甲トラックの登録名義を保有するのは、Aに対する同トラックの売買契約にかかる代金支払請求権を担保するという合理的な理由に基づくものであるから、登録名義の移転の懈怠に対する非難はない。それどころか、AからDへの弁済が続いている間は、上記のとおり、目的物の占有処分権限がDに帰属しないにもかかわらず、その段階であってもDが撤去義務を負わされることになり、妥当でない。

 以上から、上記判例法理を、本件に適用するのは妥当ではない。よって、イのDの発言は正当である。

(3) したがって、Eの請求は認められない。

第3 設問3について

1 本件では、FGHのうち、Hは廃除されており、相続人ではなくなっている(892条)から、Cの遺言について、FGに対する「相続させる」遺言とHに対する遺言で分けて検討する。

2 FGに対する「相続させる」遺言について

(1) 遺言については、遺言者の意思を尊重して合理的にその趣旨を解釈すべきものである。

(2) そうであれば、特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」遺言は、相続人に対し、特定の財産を単独で相続させようとする趣旨に解するのが合理的な意思解釈であっるといえる。すなわち、特に別段の意思表示をした場合など特段の事情がない限り、かかる「相続させる」趣旨の遺言は、908条にいう「遺産の分割の方法を定め」た遺言であると考えるべきである。

 したがって、共同相続人FGに対し1200万円・600万円の定期預金をそれぞれ「相続させる」遺言は、遺産分割方法の指定と意思解釈するのが合理的であることになる。

 そして、これについては、法定相続分よりも多い割合で分割の指定がされたり各共同相続人に対し法定相続分とは異なる割合で分割の指定がされた場合には、債務の承継割合を法定相続分から変更する意思がないことが明らかであるなどの特段の事情がない限り、相続分の指定(902条)を伴うものと解釈される。

(3) よって、本問では、そのような特段の事情は認められないから、共同相続人FGに対し法定相続分とは異なる割合で1200万円・600万の定期預金をそれぞれ「相続させる」とする本件遺言は、相続分の指定を伴うものであると解される。

 具体的には、F・Gは、それぞれ2:1の割合で相続分が指定されることになる。

3 Hに対する遺言について

 一方で、Hは、排除されることにより相続人でなくなった者であるところ、本件遺言において廃除の意思に変わりがないとCがしていることからすれば、廃除の取消し(894条2項)の趣旨を含むものではなく、Hは相続資格を失ったままである。このような、相続人以外の者に対する遺言による特定の財産の処分は、特定遺贈となる(964条)と解すべきである。

4 以上を前提に、Cの残した金銭債務が共同相続人FGにどのように承継されるかについて検討する。

 本問では、上記の通り、指定相続分があるから、F及びGは、その割合2:1で相続することになる。そして、CはBに対し300万円の金銭債務(可分債務)を負っていたことから、共同相続人FG間では上記の割合に応じた分割債務として承継することになる(898条、264条ただし書、427条)。そうすると、Fは200万円、Gは100万円の金銭債務をBに対して負うことになる。

 そして本問では、Fは、Gが単独で負う債務までBに弁済しているところ、これは、債務者の意思に反するもの(474条2項)とはいえないので、第三者弁済として有効である。

5 したがって、FはGに対し、不当利得返還請求(703条)を理由として、100万円の支払を請求することができる。

 

 ***

 

参照判例(百選Ⅰ51)

1 Xとしては、Yに対して、所有権に基づく返還請求として、本件建物収去本件土地明渡請求をすることが考えられる。

2 かかる請求が認められるためには、Xが本件土地を所有していることと、Yが本件建物を所有して本件土地を占有していることが必要である。

(1) これを本件についてみるに、まず、Xは、本件土地を競売により取得しているから、前者については認められる。

(2) しかし、本件建物は、YからBに売り渡されており、現在、Yは本件建物を実質的に所有しているとはいえない。よって、Xの上記請求は認められないのが原則である。

 もっとも、建物は土地を離れては存立し得ず建物の所有は必然的に土地の占有を伴うものであるから、土地所有者としては、地上建物の所有権の帰属につき重大な利害関係を有するところ、土地所有者が建物譲渡人に対して所有権に基づき建物収去・土地明渡しを請求する場合の両者の関係は、土地所有者が地上建物の譲渡による所有権の喪失を否定してその帰属を争う点で、あたかも建物についての物権変動における対抗関係にも似た関係であるといえる。そうであれば、建物所有者は、自らの意思に基づいて自己所有の登記を経由し、これを保有する者である以上、このような建物所有者は、土地所有者との関係においては、建物所有権の失を主張できないというべきである。また、もし、これを、登記に関わりなく建物の実質的所有の有無をもって建物収去・土地明渡しの義務者を決すべきものとするならば、土地所有者は、その探求の困難を強いられることになり、また、相手力においてたやすく建物の所有権の移転を主張して明渡しの義務を免れることが可能になるという不合理を生ずるおそれがあるという点で、妥当ではない。

 そこで、他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合には、たとえ建物を他に譲渡したとしても、引き続き登記名義を保有する限り、土地所有者に対し、譲渡による建物所有権の喪失を主張することはできないものと解するのが相当である。

 本件において、Yは、相続を原因とするYへの所有権移転登記を自らの意思に基づいて経由したものと考えられるし、上記のとおり、引き続き本件建物の登記名義を保有しているから、Yは、Xに対し、譲渡による本件建物所有権の喪失を主張することはできないというべきである。

(3) したがって、本件においては、上記請求の要件が満たされる。

3 よって、Xの上記請求は認められるというべきである。

 

※ 177条の、「得喪」の「喪」に本件は当たる。そうであれば、「類似」の関係と言わなくても、端的に177条の関係にある、といえば足りるのではないかが疑問としてあがる。これについては、そもそも「土地の所有者」と「建物の所有者」が、「177条の第三者の関係で、対抗関係にある」ということ自体が問題となり、そこに『類似』という言葉が必要になると思われる。