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事例研究行政法 1-5

 

 

第1部 問題5 砂利採取計画の認可をめぐる紛争

  • 原処分主義と裁決主義

 原則(原処分主義);「処分の取消しの訴え」と「その処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴え」を提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない(行訴法10条2項)。;行訴法10条2項における原処分主義の趣旨は、原処分の取消訴訟と裁決の取消訴訟が異なる裁判所に提起され、いずれの訴訟においても原処分の違法が主張された場合、原処分の違法性について矛盾する判断がなされるおそれがあり、これを防ぐ点にある。
 例外(裁決主義);個別法において、裁決の取消訴訟のみしか認められていない場合は、行訴法10条2項の適用はなく、裁決の取消しの訴えにおいて、処分の違法を理由として取消しを求めることができる。

 

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第1 設問1小問1について
1 法40条1項前段は、「法16条…の規定による処分に不服がある者は、公害等調整委員会に対して裁定の申請をすることができる。」と定めている。そして、「鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律」(以下、「調停手続法」という)は、公害等調整委員会が法40条1項の規定による不服の裁定を行うものとした(調停手続法1条1項2号リ)うえで、裁定の取消訴訟を認め(調停手続法49条)、裁定を申請することができる事項に関する訴えは、裁定に対してのみ提起することができると定めている(調停手続法50条)。以上から、法は、裁決主義を採用しているといえる。
2 法40条1項前段にいう「法16条…の規定による処分」には、砂利採取計画不認可処分が含まれる。したがって、本件不認可処分に不服があるAとしては、まず、公害等調整員会に裁定の申請を行うべきである。裁定の申請期間は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内(調停手続法25条1項)に行う必要があるところ、本件では、2016年8月22日に本件不認可処分が行われ、2016年9月1日に弁護士に相談していることから、裁定の申請期間については問題なく遵守できる。
3 仮に、公害等調整委員会が、本件不認可処分は違法ではないとして棄却裁定をした場合、Aは棄却裁定の取消訴訟(行政事件訴訟法3条3項)を提起することができる。また、Aは、併せて認容裁定の義務付け訴訟を提起することができる(行政事件訴訟法37条の3第1項2号、37条の3第3項2号、37条の3第7項参照)。
第2 設問1小問2について
1 Aは、本件不認可処分は、法19条にいう「他人に危害を及ぼし」という文言、および、「公共の福祉に反する」という文言の解釈・適用を誤るものとして違法である、と主張することが考えられる。
(1) 法は、「砂利採取業について、その事業を行う者の登録、砂利の採取計画の認可その他の規制を行うこと等により、砂利の採取に伴う災害を防止し、砂利採取業の健全な発達に資することを目的」の下(法1条)、認可の基準として、採取計画に基づいて行う砂利の採取が「他人に危害を及ぼす」ものでないことを規定したうえ(法19条)、甲県の審査基準では、「掘削箇所への地下水の浸透、地下水位の低下その他の地下水の変化により、砂利採取場周辺の井戸水、農業用水その他の水の利用に悪影響を与えないように行うものであること」を規定している。これらの規定の趣旨は、砂利採取業を無制限に許容した場合、地下水に悪影響が生じ、地下水を引用している者の健康に危害が及ぶことや、地下水を利用して事業を行っている者の利益が害される可能性があるため、許認可の段階で事前に審査し、このような被害が生じるのを未然に防止することにあると解される。他方で、あらゆる危険を想定し、それを基に許認可の段階で審査するのであれば、事実上砂利採取業の認可を受けることが極めて困難となり、砂利採取業者の営業の自由(憲法22条1項参照)を過度に制約することになり妥当でない。
そこで、法19条にいう「他人に危害を及ぼし」とは、客観的な資料ないし状況から、地下水を利用する周辺住民ないし、周辺業者に現実的な危険性が認められる場合をいうと解すべきである。
 本件についてみると、Aは、埋戻しに使用する予定の建設残土のサンプル分析を専門業者Bに依頼し、環境省の定める土壌汚染に係る環境基準所定の有害物質に関しては、いずれも基準値を下回っているとの調査結果を得ている。また、Aは、過去に砂利採取法に違反する行為を行ったことはなく、砂利の採取に関して不正が行われるおそれがあるということはできないし、調査されたもの以外の建設残土が使用される危険性があることをうかがわせる事情も見当たらない。加えて、有害物質を含む建設残土が埋戻しに使用されることを防止するためには、認可に条件を付する(法31条)ことにより、環境基準に適合することが判明した建設残土に限り使用を認めるという方法によっても行うことができる。したがって、本件では、Aの採取計画に基づいて行う砂利の採取について、客観的な資料ないし状況から、地下水を利用する周辺住民ないし、周辺業者に現実的な危険性が認められるとは到底いうことはできない。
 よって、本件では、「他人に危害を及ぼ」す場合にはあたらない。それにもかかわらず、甲県知事が、調査されたもの以外の建設残土が埋戻しに混入する可能性があるとして、「他人に危害を及ぼ」す場合にあたると認めたことは、その解釈・適用を誤るものとして、違法である。
(2) 認可の基準を定めている法19条は、「砂利の採取が他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、又は他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは」、法16条の認可をしてはならないと定めている。この法文の文理解釈からすると、同条の不認可事由は、①他人に危害を及ぼすこと、②公共の用に供する施設を損傷すること、③他の産業の利益を損じること、のいずれかの事由が認められ、かつ、それが公共の福祉に反すると認められることであると解するのが素直である。
 本件についてみると、甲県知事は、周辺住民の反対の陳情を考慮し、地域住民の不安が解消されていないことが「公共の福祉に反すると認めるとき」にあたるとして、本件不認可処分を行っている。しかし、本件では、①~③についていずれも認められないのであるから、仮に、周辺住民らが反対の陳情を行い、地域住民の不安が解消されていないことが「公共の福祉に反すると認めるとき」にあたるとしても、それを独立の不認可事由として不認可処分を行うことはできないというべきである。
 したがって、甲県知事が「公共の福祉に反すると認めるとき」を独立の不認可事由として行った本件不認可処分は、「公共の福祉に反すると認めるとき」の解釈・適用を誤るものとして、違法である。
2 法は、16条に基づく処分について行政手続法の適用を除外する規定を置いていない。そして、本件不認可処分は、申請に対する処分(行政手続法2条3号、第2章)にあたる。そこで、Aは、本件理由の提示は不十分であるとして、行政手続法8条1項本文に反すると主張することが考えられる。
(1) 行政手続法8条1項本文が、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合に理由の提示を行わなければならないとした趣旨は、行政庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を図ることにある。このような趣旨に鑑みると、申請拒否処分に付すべき理由の提示の程度は、単に処分の根拠規定を示すだけでは十分ではなく、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分を行ったかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものでなければならないと解する。
 本件についてみると、Aが受け取った本件不認可処分に係る通知書には、処分の理由として、「砂利採取場周辺の井戸水の利用に悪影響を与えないとはいえず、他人に危害を及ぼし、公共の福祉に反すると認めるので、砂利採取法19条の不認可事由に該当する」と記載されている。
 これは、甲県の審査基準と法19条の文言をつなぎ合わせただけで、実質的にみて、単に法律の規定と審査基準を示したものにすぎない。すなわち、本件では、Aが使用する予定の建設残土について環境基準違反はない旨の調査結果が得られているにもかかわらず、なぜ周辺の井戸水の利用に悪影響を与えないとはいえないという判断がなされたのかについて、通知書の記載からは全くわからない。
 したがって、本件理由の提示は、いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分を行ったかを、申請者においてその記載自体から了知しうるものということはできない。
 よって、本件理由の提示は不十分なものであり、行政手続法8条1項本文に反し、違法である。
(2) もっとも、本件では、このような理由の提示についてAが甲県に苦情を申し出たところ、甲県の担当者は、「Bによる調査結果に疑問があるわけではないが、調査されたもの以外の建設残土が混入するなどにより、地下水が汚染される可能性が全くないとはいえず、地域住民の不安が解消されていないので、本件不認可処分がなされた」と説明している。そこで、このような甲県の担当者の説明により、理由の提示の瑕疵が治癒されたと考えることはできないか。
 前記の行政手続法8条1項本文の、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合に理由の提示を行わなければならないとした趣旨に鑑みれば、事後的に必要な理由が提示されたとしても、処分時に提示された理由に瑕疵がある以上、理由付記の趣旨を全うすることはできないため、理由の追完は認められないと解する。
したがって、事後的に理由を説明したとしても、理由の提示の瑕疵は治癒されない。
 それ故、本件においても、理由の提示が不十分であることの違法が治癒されるものではない。
(3) それでは、理由の提示が不十分であるという手続上の違法事由は、本件不認可処分の取消事由となるか。
 行政手続法の趣旨は、公権力の行使により不利益を受ける国民の手続的権利を保障することにあるのであるから、手続違反があった場合には、これは、取消訴訟における取消事由になると解される。もっとも、行政手続経済の観点からは、このような瑕疵は、直ちに処分の取消事由とはならず、その違法が重大である場合に限り処分の取消事由となると解する。
 本件についてみると、理由の提示は、当該処分の名宛人の権利保護を図る趣旨から、当該名宛人となるべき者に対し、公正・透明な行政手続を法的に保障し、自らの防御権を行使する機会を付与することを目的として行われるものである。したがって、理由の提示が不十分であるという違法は、重大であるといえる。
(4) よって、理由の提示が不十分であるという手続上の違法は、不認可処分の取消事由となる。
第3 設問2小問1について
1 Cは、本件取消処分(法26条1項1号)の取消訴訟(行政事件訴訟法3条2項)を提起しているところ、本件認可に係る採取計画では、採取期間が2017年7月24日までとされている。そこで、裁判所の判決が出る前に本件認可に係る採取期間が経過した場合、訴えの利益は消滅するか、Cに、「回復すべき法律上の利益」(行政事件訴訟法9条1項かっこ書)が認められるかが問題となる。
2 「回復すべき法律上の利益」とは、処分の法的効果が消滅しても、なお処分を取り消す必要性・実効性を有することをいう。
 本件についてみると、法26条による認可の取消しを受けた者については、登録の取消しや事業の停止を命ずることができるものとされている(法12条1項5号)。そうすると、Cが本件取消処分を受けたことを理由として登録の取消し等の処分を受ける可能性が残されている限り、本件取消処分の取消訴訟によって、実体的な利益が回復されるものというべきである。
3 したがって、たとえ、裁判所の判決が出る前に本件認可に係る採取期間が経過したとしても、Cには、「回復すべき法律上の利益」が認められる。
4 よって、このような場合であっても、訴えの利益は消滅しない。
第4 設問2小問2について
1 本件では、Cが法21条に違反したことについては争いがない。もっとも、乙県知事は、本件場所の原状回復が行われないことを確認した後、直ちに本件取消処分を行っている。そこで、Cは、本件取消処分は、裁量権を逸脱・濫用するものとして違法である(行政事件訴訟法30条)と主張することが考えられる。
(1) 法26条は、「都道府県知事は、…第16条の認可を受けた砂利採取業者が次の各号の一に該当するときは、その認可を取り消し…できる」との文言で規定している。また、砂利採取業者が遵守義務(法21条)に違反した場合に認可を取り消すべきかどうかについては、違反の程度や周囲の状況等を考慮して専門的・政策的な判断が必要となる。したがって、都道府県知事は、法26条の各号に該当する場合に、認可を取り消すかどうかについて、裁量が認められる。 もっとも、認可取消処分は、当該砂利採取計画に基づく堀削ができなくなるという点で、砂利採取業者の営業の自由(憲法22条1項参照)に対して、極めて重い不利益をもたらす処分である。そこで、認可を取り消すかどうかについての裁量権の行使は、目的達成のための必要度に比例するようなされなければならず、それが認められない場合には、裁量権を逸脱・濫用するものとして違法となると解する。
(2) 本件についてみると、確かに、Cは本件認可に係る採取計画で定められた4mの保安距離を保たずに堀削を行っている。しかし、乙県の審査基準である最低2mの保安距離については遵守している。また、本件場所およびその付近における災害は発生していない。さらに、Cは本件以前において砂利採取法に違反する行為を行ったことはないというのであるから、本件堀削について、意図的に違反を画策していたというわけでもない。そうすると、本件堀削は、法21条の遵守義務に違反するものではあるものの、その違反の程度は比較的軽微であったというべきである。また、Cは、乙県担当者から、本件場所における堀削を中止し、月末までに本件場所を原状回復するよう行政指導を受けているところ、Cは原状回復を行っていない。しかし、この点については、法23条2項に基づいてCに対して本件場所の埋戻しを命令することによって対処することができる。以上より、本件では、Cの違反の程度は比較的軽微であり、本件取消処分を行わなくとも、代替手段によって行政目的を達成することができるというべきである。それにも拘わらず、乙県知事は、Cが原状回復を行っていないことを確認するや直ちに本件取消処分を行っている。
(3) したがって、乙県知事の本件取消処分は、目的達成のための必要度に比例するものとは到底いうことができず、裁量権を逸脱・濫用するものとして違法というべきである。
2 また、本件取消処分は、「許認可等を取り消す不利益処分」(行政手続法13条1項1号イ、2条4号本文、第3章)にあたるところ、それにもかかわらず、本件では、Cについて聴聞手続がなされていない。本件では、前記のとおりCの違反は比較的軽微なものであり、本件場所及び付近における災害は発生していないというのであるから、「公益上、緊急に不利益処分をする必要がある」(行政手続法13条2項1号)場合とはいえず、聴聞手続を省略することはできない。よって、Cは、行政手続法13条1項違反を手続的違法事由として主張することが考えられる。
 そして、上記の通り、その違法が重大である場合には手続違反も取消事由となると解されるところ、聴聞手続は、当該処分の名宛人の権利保護を図る趣旨から、当該名宛人となるべき者に対し、公正・透明な行政手続を法的に保障し、自らの防御権を行使する機会を付与することを目的として行われるものである。したがって、聴聞手続を行わなければならないにもかかわらず、これが行われなかったという違法は、重大なものであるというべきである。
 よって、聴聞手続を行わなければならないにもかかわらず、これを行わなかったという違法は、処分の取消事由となる。

 

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問題5 関連問題
1 Dは、乙県知事が砂利採取法23条2項に基づいてCに対して当該場所の埋め戻しを命ずることを求める非申請型義務付け訴訟(3条6項1号、37条の2)を提起することはできるか。
2 まず、訴訟要件を満たすかが問題となる。
(1) 「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」があること(37条の2第1項)
(ア)  上記命令が、「処分」であることまず間違いはない。
 そして、さらに、「一定の」処分といえるためには、裁判所の判断が可能な程度にこれが特定されている必要があるところ、本件においては上記命令を義務付け訴訟の対象としており 、この要請を満たしているといえる。
 よって、「一定の処分」との要件を満たす。
(イ) 次に、「重大な損害を生じるおそれ」は、司法が行政に介入することを必要ならしめる程度に、救済の要請が高い場合に認められるところ、これについては、行訴法37条の2第2項に挙げられた事由を考慮要素として、判断することになる。
本件においては、Cは隣接地との距離が2m未満の場所でも掘削を行っていたのであって、その隣接地にあるDの土地が崩落する危険は、大きかった。そして、これによって、Dは、財産権を侵害されるのみならず、生命身体という、回復のしようのない権利が侵害されることになる。
 そうすると、上記「一定の処分」がなされないことによって、「重大な損害が生ずるおそれ」があるから、上記要件も満たす。
(2)  「その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」であること(同条同項)
 これについては、第三者が直接民事上の請求が可能であるから補充性が認められないとすると、義務付け訴訟の適用場面が著しく限定されるため、補充性は、義務付け訴訟に代替する法的手段が現に存在する場合を除き、認められる。
本件においては、Dの土地の崩落の危険を避けるためには他に適当な方法はないと認められるのでこの要件も満たす。
(3) 「行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求める訴えにつき法律上の利益を有するとき」であること(同条3項・9条1項)
(ア) ここで、「法律上の利益を有する者」とは、当該処分がなされないことにより、法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして、問題となる利益が、法律上保護された利益に当たるか否かについては、処分の根拠法令が一般公益にとどまらず個別的利益としても保護しているものといえるかを、9条2項にかかげられた判断要素を勘案して判断することとなる。
(イ) 砂利採取法1条は「砂利の採取に伴う災害の防止」をその目的に掲げ、一定の場合には、「災害の防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる」(23条2項)としている。そして、砂利の採取に伴う災害によっては、付近の住民及び土地所有者等に直接に危害が生じることになる。すなわち、砂利の採取に伴う災害による危害を受けない利益は、一般的公益に吸収解消させることのできない個別的利益であって、法は、砂利採取に伴う災害によって直接かつ著しい危害を受ける一定の範囲の者を保護することを当然に予定しているといえる。
 従って、上記一定の範囲の者は、上記訴訟において原告適格を有するものと解される。
(ウ) そして、Dは、Cが掘削を行っていた場所の隣接地で畑を所有して農業を営んでいる のであるから、砂利採取に伴う災害によって直接かつ著しい危害を受ける一定の範囲の者であるといえ、原告適格を有する。
(4) 以上より訴訟要件は満たす。
3 では原告本案勝訴要件(37条の2第5項)は満たすか。
(1) ここで、裁量の有無やその広狭については規定文言の抽象性・概括性、専門技術性及び公益上の判断の必要性等を考慮して個別に判断すべきであるところ、本件においては、砂利採取法23条2項は「命ずることができる」と規定していることから、処分につき裁量は認められよう。それゆえ、少なくとも、「行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかである」場合には該当しない。
(2) では、「行訴庁がその処分をしないことが裁量権の逸脱濫用となると認められる場合」に当たるか。
 確かに、砂利採取に伴う災害のおそれが客観的に認められるか、それを防止するためにいかなる措置をとるべきかについてはある程度専門技術的な判断が必要であるといえる。もっとも、上記命令によっては、砂利採取を行うという憲法22条によって保障される職業の自由が制約されうる。他方、上記命令がなされないことによって、砂利採取に伴う災害によりそう狭くない範囲の近隣住民に命に係わる被害が及び得る。そうであるとすれば、災害により近隣住民を保護する必要性が認められる場合には、法23条2項の命令を発すべきであるし、逆にそうでない場合には、発すべきではない、ということになる。すなわち、本件処分についての行政庁の裁量は狭く、災害を防止し近隣住民の生命等を保護する必要があると客観的に認められるにもかかわらず、これがなされない場合には、そのような判断は、社会通念上、著しく妥当性を欠き、裁量の逸脱・濫用が認められると考える。
 本件についてこれをみると、Cは隣接地との距離が2m未満の場所で採削を行っており、Dの畑は、砂利採取に伴う災害が起きた場合には、崩落の危険を回避することはできないのであるから、客観的に見て、災害を防止し、近隣住民であるCの生命等を保護する必要が認められる。
 それゆえ、行政庁が埋戻しを命じないことは、著しく妥当性を欠く結果、裁量権の逸脱・濫用が認められる。
(4) 以上より、本案勝訴要件も認められる。
4 よって、Dは非申請型義務付け訴訟(3条6項1号、37条の2)の提起ができ、また、これは認容されることになろう。