○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

ウォッチング労働法30 労働基本権

 憲法・労組法は、①労組法2条本文該当性、②2条但書該当性、③5条該当性、の3つの要件をすべて満たす組合については、労働委員会の救済、労組法(不当労働行為制度)による保護、憲法28条の保護、すべてを享受できるとしている。そして、①の要件さえ満たせば、その組合(a「労働者が主体となって」、b「自主的に」、c「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として」、d「組織する団体またはその連合団体」(労組法2条本文))は、憲法組合ということになる。

 では、憲法組合に対する法の保護はどのようなものか。憲法組合は、「勤労者の団体」として憲法28条の保護は享受できる。すなわち、上記①の要件しか満たさない場合は、労働委員会の救済(労組法(不当労働行為制度)による保護)は受けられないが、①の要件さえ満たせば、最も基本的な憲法上の権利である、労働三権(団結権,団体交渉権,争議権)が保障を受けることができる。すなわち、憲法上の保護(民事・刑事免責、不利益取扱いの司法救済)が与えられることになる。

 では、上記保護の根拠は何か。上記のような帰結となるのは、既述の通り、憲法28条の存在ゆえである(労働組合法は、「労働者」や「労働組合」の保護を図っているが、これらの労組法の規制は創設的なものではない。それゆえ、その根底にある憲法28条の保障が、憲法組合にも及ぶことになる。)

  • 自主性不備組合

 そして、①の要件を満たすものの、②以下の要件を満たさない、いわゆる自主性不備組合は、労働組合法上の「労働組合」には当たらない。このような組合は、上記のように、憲法組合として、憲法28条の保障を受けることができる。具体的には、1であげたとおりである。

 労働組合法上の「労働組合」とは、少なくとも上記1(1)であげた①②の要件を満たすものをいう。すなわち、a「労働者が主体となって」、b「自主的に」、c「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として」、d「組織する団体またはその連合団体」で(労組法2条本文)、労組法2条但書に掲げられた事由に該当しないものをいう。そして、①②の要件を満たし、労組法上の「労働組合」には当たるものの、③の要件を満たさないものを、規約不備組合という。このような規約不備組合は、憲法28条による保護は受けることができるが、労働組合法上の保護は受けることができない。

  • 法適合組合

 そして、労働組合法上の「労働組合」のうち、③の要件を満たすものを、法適合組合という。このような法適合組合は、労働委員会の救済(不当労働行為制度)、憲法28条の保護、すべてを享受することができる。

 

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第1 設問1について

1 団交拒否について

(1) 本件においては、O社により団体交渉の拒否がなされているが、これは不当労働行為(労組法7条2号)に当たらないか。

 労組法は、「使用者」の雇用する「労働者」の代表者との団体交渉を「正当な理由」なく拒否することを不当労働行為として禁止する形で、使用者の団体交渉義務を定めている(7条2号)。

ア まず、O社は、A,Bの「使用者」(労働組合法7条柱書)であることに間違いはない。

イ そして、労組法1条1項が労働条件の対等決定と労使自治の促進を目的としていることに鑑み、義務的団交事項は、①団体交渉を申し入れた労働組合の組合員の労働条件その他の待遇、および集団的労使関係の運営に関する事項であって、②使用者が解決可能な事項に限られると解すべきところ、合同労組H組合による交渉事項は、直近2年間の割増賃金不払分の支払いについてであり①②に該当するから、義務的団交事項に該当する。

ウ それにもかかわらず、「使用者」であるO社は、その雇用する労働者の代表者であるH組合の団体交渉を、「正当な理由」なく拒否している。

エ よって、O社の団交拒否については、不当労働行為(労働組合法7条2号)が成立する。

(2) それゆえ、H組合としては、行政救済として、不当労働行為救済申立て(労組法27条)、労働争議のあっせん申請(労働関係調整法6条,12条)をすることが考えられ、また、司法救済としては、団交を求めうる地位の確認請求や損害賠償請求をすること(民法709条)が考えられる。

2 Aの解雇・Bの降格について

(1) では、本件解雇・降格は、不当労働行為(労組法7条1号)に当たるか。

ア ここで、労組法7条1号は、「使用者」は、「労働者」が「労働組合の組合員であること」を理由として労働者を「解雇」することやその他「不利益な取扱い」を課すことを禁止している。

イ まず、O社が「使用者」であり、A,Bが、「労働者」(労組法3条)であることは間違いない。そして、本件において、Aの解雇・Bの降格は表向きは動務成績の悪さを口実に行われているが、A,Bの勤務成績はO社従業員の平均に位置しているのであって、合理的理由を認められないというのであるから、実際にはA,BがH組合に加入し同組合がO社に対して団体交渉を求めたことを理由として行われたものと解される。

ウ それゆえ、O社による解雇・降格は、労組法上は不利益取扱いの不当労働行為(労組7条1号)であるといえる。

(2) よって、A,Bは、労働委員会による教済(行政教済)を受けることができる(労組2条の12第1項)。また、司法教済としては、AはO社の従業員たる地位の確認を求め、Bは降格前の資格にあることの確認を求めることができる。 ※ 7号3号違反もあり。(省略)

第2 設問2について

1 H組合について

(1) 「組合」が、憲法28条による直接の救済だけでなく、労働委員会による(不当労働行為制度による)救済を受けるためには、その「組合」が、①a「労働者が主体となって」、b「自主的に」、c「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として」、d「組織する団体またはその連合団体」であり(労組法2条本文)、かつ、②労組法2条但書に掲げられた事由に該当せず、③5条該当性という要件を満たす必要がある。

(2) H組合については、本問からは具体的な事情が明らかではないものの、この要件を満たしているものと解される。

(3) よって、H組合については、団交拒否に対する救済として、労組法の不当労働行為による行政救済保護を享受する(労組法7条、27条)。

2 L組合について

(1) ここで、L組合も、①の要件を満たすことはまず間違いない。

 もっとも、それが、労組法2条但書所定の利益代表者を参加させるものであれば、②の要件を満たさず、自主性不備組合として法適合組合適格性を否定されるから、不当労働行為救済制度の保護を享受することができない。

(2) よって、Aが利益代表者としての地位を有さないのであれば、L組合は不当労働行為救済制度の保護を享受することができ、逆に、Aが利益代表者としての地位を有するのであれば、L組合は不当労働行為救済制度の保護を享受することができないということになる。 ※ ここで、利益代表者については、管理職の名称等の形式ではなく、その者の参加を許すことが組合の自主性を損なう危険があるかという観点から実質的に判断され、その結果、利益代表者の範囲は限定的に解されている。

(3) しかし、この場合も、それら利益代表者が憲法28条の「勤労者」であることに疑いはないから、同条の保護は享受する。したがって、この場合であっても、J組合は、司法救済として憲法28条から生ずる保護としてL社による正当な理由のない団交拒否に対し、不法行為責任を追及することができる(709条)。

第3 設問3について

1 本件就業規則の変更は、労働者の個別的同意なく、成果主義賃金制度を導入するという点で、労働契約の内容を労働者に不利益に変更するものである。かかる就業規則による労働条件の不利益変更は認められるか。

 そもそも、合意原則(労働契約法3条1項・8条)の現れとして、労働者の合意なき就業規則による一方的な労働条件の不利益変更は、許されないのが原則である(9条本文)。この点、就業規則の不利益変更に労働者の同意があれば、その同意を根拠に変更後の就業規則が労働者に拘束力を持つと解されるが(9条反対解釈)、Xが就業規則の変更に同意したという事情はない。もっとも、労働契約法10条所定の場合には、このような不利益変更が認められる(9条但し書き)。具体的には、①周知性の要件と②就業規則変更の合理性の要件を満たす必要がある。

2 これを本件についてみると、本件においては、周知性の要件に欠けるところはない(①)。また、M社はK組合の要求に応じて扶養手当を残し、住宅手当を2年間のコスト共に人事考課データの開示制度・苦情処理制度を設けるという合理的制度設計を行っていること、多数組合であるK組合の合意を得ていることを併せれば、合理性を有するものと評価できる(②)。

3 したがって、M社が行った就業規則改定は、M社の従業員を拘束するものと解される。

第4 設問4について

1 本件において、Kユニの団体交渉の申し入れに対し、E社は、「学生アルバイトが結成した団体は労働組合ではない」と拒否している。そこで、Kユニが労働組合法上の「労働組合」に当たるかが問題となる。

(1) 労働組合法上の「労働組合」とは、労組法2条本文及び但書、5条2項の要件を満たすものをいう。

ア 「労働者が主体となって」

 アルバイトも労働組合法上の「労働者」に当たるところ、Kユニは、「労働者」が主体となって組織する団体であるといえるから、この要件を満たす。 ※ 労働者(労働組合法3条)とは、憲法28条が団結権を保障し、劣位にある労働者の地位向上を図った趣旨から、団体交渉保護を受けさせるべきか否かにより判断すべきであり、経済的従属性が認められれば足りると解する。具体的には、①仕事の依頼に対する諾否の自由の有無、② 専属性の程度、③報酬の労務対称性により判断すべきと解する。

イ 「自主的に」

 自主性要件の趣旨は、労働者の利益を代表する団体としての適格性を担保するために、使用者からの独立性を確保することにある。したがって、「自主的に」(労組法2条本文)とは、団体の結成・運営にあたり使用者の支配から独立していることを意味するところ、Kユニは、この要件も満たす。

ウ 「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として」

 また、本件において、Kユニは「勤務シフトの作成時に学生組合員の学業及び就職活動に配慮する」旨の条項を内容とする労働協約の締結を求めているところ、これは「労働条件の維持改善」を「図ることを主たる目的として」いるものといえるから、上記要件も満たす。

エ 「組織する団体またはその連合団体」

 また、Kユニは当然上記要件も満たす。

オ さらに、労働委員会の救済を受けるためには、組合の民主的な運営を確保するために法定された事項(均等取扱いや民主的意思決定手続など)を記載した規約の作成(民主性、労組法5条2項)が必要であるところ、この要件も満たしている。

カ それゆえ、Kユニは、労組法上の法適合組合と解される。したがって「学生アルバイトが結成した団体は労働組合ではない」とのE社の見解は誤りである。

(2) そして、労組法2条及び5条2項の要件を充たした法適合組合は、労働委員会の救済、労組法(不当労働行為制度)による保護、憲法28条の保護、すべてを享受できる。

そして、上記交渉事項は、義務的団交事項にあたるため、E社は団体交渉義務(労組7条2号)を負うところ、E社はこれを誤った見解に基づき拒否しているから、E社は義務的団交事項を「正当な理由」なく拒否したことになる。 ※ そもそも、団体交渉権保障の趣旨は、労使の実質的対等化・労使自治の促進を図る点にある(労組法1条1項参照)。そこで、義務的団交事項とは、①労働者の労働条件等にかかわる、②使用者に解決可能であるものをいうと考える。

(3) よって、E社は不当労働行為責任を負い、Kユニは、団交応諾命令の救済を得ることができる(労組27条の12第1項)。

2 学生アルバイトユニオンの活動の法的保護

(1) そこで、次に、E社とKユニが締結した「勤務シフトの作成時に学生組合員の学業および就職活動に配慮する」旨の協約条項(配慮条項)の効力が問題となる

(2) 協約の規範的効力が生ずるのは、「労働条件その他の労働者の待退に関する基準」(労組16条)である場合である。そして、ここでいう「基準」とは労働契約を規律するに足るだけの客観的かつ明確な準則を意味する。

 しかし、本件配慮条項がそうした客観的・明確な準則との評価に値するかは疑問である。

(3) もっとも、こうした規定も、使用者の権利濫用(労契3条5項)の判断には影響するのであるから、E社が配慮条項に違反してシフトを作成し、学生組合員に業務命令を行った場合は業務命令権濫用が成立し、Kユニの学生組合員は労働義務を負わないものと解される。