○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

百選起案 憲法(7版) 1~4

百選1 マクリーン事件

1 意見の要旨

 本件処分は、Xの在留の自由、政治活動の自由(憲法21条1項)を侵害せず、合憲である。

2 権利保障

(1) 在留の自由について

 憲法22条1項は日本国内における居住移転の自由を保障するにとどまり、外国人が引き続き日本に在留する権利を保障するものではない。

 国際慣習法上、入国の許否は国家の主権としての自由裁量に属することから、外国人に入国の自由はなく、それゆえ在留権も保障されない(マクリーン事件判決参照)。 ※ したがって、日本国外へ一時旅行する自由は保障されず、再入国の自由も保障されない(森川キャサリーン事件)。

(2) 政治活動の自由について

 確かに、憲法21条1項は、「表現の自由」として、政治活動の自由を保障しているものと解される。

 そして、憲法上の権利は、(基本的人権の前国家的性格、国際経主義(98条1項)の精神に照らせば、)外国人にも、権利の性質上、日本国民のみを対象としている憲法上の権利を除いて保障されるものと解されるところ(マクリーン事件参照)、我が国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼすとまではいえない、(一市民にすぎない)Xの政治活動は、国民主権(1条、15条1項参照)の原理に反するものではないことにかんがみれば、政治活動の自由は、権利の性質上、外国人であるXにも保障されるというべきである。

3 制約・正当化

 本件においては、Xが在留期間中に政治活動を行ったことを不利益な事情として考慮して、本件処分がなされており、その意味で、Xの政治活動の自由が制約されているといえる。

 もっとも、外国人の基本的人権の保障は、外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない。すなわち、国家は国際慣習上外国人を受け入れる義務を負うものではなく、外国人を受け入れるか否かは国家の自由裁量にゆだねられているといえる。それゆえ、外国人の在留期間の更新につき判断する法務大臣には、その要件・効果において広い裁量が認められているというべきであり、法務大臣の判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等によりその判断が全く事実の基礎を欠くと認められる場合や、事実に対する評価が明白に合理性を欠くなどによりその判断が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことが明らかであることが認められる場合についてのみ、そのような処分は違法・違憲であるとするべきである。

 本件においては、少なくともXが政治活動を行ったことは事実なのであるから、これに基づく本件処分という判断が全くその事実の基礎を欠いているということはできない。また、法務大臣がXによる政治活動を日本国にとって好ましいものではないと評価しそれゆえXに対して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由はないと判断したことも、明白に合理性を欠くとまでは言えず、その判断が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くことが明らかであるともいえない。

 以上より、本件処分は、違法・違憲ではない。

4 結論

 よって、本件処分は、Xの在留の自由、政治活動の自由を侵害するものではなく、合憲である。

 

百選2 外国人指紋押なつ拒否事件

1 意見の要旨

 指紋押なつ制度は、憲法13条後段が外国人に対しても保障する、みだりに指紋押なつを強制されない自由を侵害するものではなく、合憲である。また、同制度は、憲法14条に反するものでもない。

2 憲法13条後段違反についての検討

(1) 権利保障

 憲法13条後段は、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を保障しているところ、具体的には、人間の人格的生存に不可欠な権利を保障しているものと解される。

 指紋は、指先の紋様であり、それ自体では個人の私生活や人格、思想、信条、良心等個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上、万人不動性、終生不変性をもつものであるため、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活或いはプライバシーが侵害される危険性がある。

 そこで、みだりに指紋押なつを強制されない自由は、人間の人格的生存にとって不可欠なものとして、憲法13条後段によって保障されると解すべきである。

 そして、憲法上の権利は、外国人にも、権利の性質上、日本国民のみを対象としている憲法上の権利を除いて、保障されるものと解されるところ(マクリーン事件)、上記自由は、外国人にも保障されるものと解される。

(2) 制約・正当化

 それにもかかわらず、指紋押なつ制度は、在留外国人に指紋押なつを強制しており、外国人のみだりに指紋押なつを強制されない自由を制約している。

 もっとも、指紋は、それ自体、外延情報にすぎないのであるから、上記自由を制約する立法は、立法目的及び立法目的を達成するために規定された手段が著しく不合理でない限り合憲であるとすべきである。

 指紋押なつ制度は、「本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もって在留外国人の公正な管理に資する」という目的(外国人登録法1条)を達成するため、戸籍制度のない外国人の人物特定につき最も確実な制度として、指紋押なつ制度を採用したものであって(同法14条)、その立法目的には、合理性、必要性が認められる。

 また、法は、押なつ義務を、5年に一度、一指についてのみ課すものにすぎず、その強制も罰則による間接強制にとどまるものであって、精神的、肉体的に過度の苦痛を伴うものとまではいえず、方法としても、一般的に許容される限度を超えない相当なものであると認められる。 ※ あくまで当時の制度について

 したがって、指紋押なつ制度の立法目的、手段が、著しく不合理であるとは言えない。

(3) 結論

 よって、指紋押なつ制度は、憲法13条後段に違反するものではない。

3 憲法14条違反の検討

(1) 憲法14条が許容する別異取り扱いの範囲について

 「法の下の平等」を定める憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。そして、その合理性審査の密度については、差別の基礎事由や、被侵害利益、裁量の広狭等を考慮して、決定すべきである。

 まず、本件区別の理由は、外国人であるかどうかによるものであるから、本件別異取り扱いは、後段列挙事由である、「人種」に基づくものである。他方で、区別によって生じる不利益は、外延情報にすぎない指紋の押なつを、上記の通り、一般的に許容される限度を超えない方法で強制するものにすぎず、軽微であるといえる。また、国際慣習法上、入国の許否は国家の主権としての自由裁量に属するところ、外国人に対していかなる措置を講じたうえで入国及び在留を許可するかについても、国家の側に裁量が認められるものと解される。以上に鑑みれば、本件の別異取り扱いの合理性は、緩やかに判断することで足りるというべきである。具体的には、立法目的及び立法目的を達成するための手段が著しく不合理でない限り、指紋押なつ制度による別異取り扱いは、合理的根拠に基づくものと評価し、憲法14条に反しないものであると解すべきである。

(2) 具体的検討

 上記の通り、在留外国人を対象とする指紋押なつ制度の目的は合理的であり必要性も認められる。また、立法目的を達成するための手段も相当であるといえる。そうである以上、外国人についてのみその取扱いに差異を設けることには合理的根拠があるといえる。

(3) 結論

 よって、指紋押なつ制度は、憲法14条に違反するものでもない。

 

百選3 外国人の地方参政権

1 意見の要旨

 定住外国人地方公共団体の選挙権を認めない地方自治法11条・18条、公職選挙法9条2項は、憲法15条及び14条に違反するものではない。

2 憲法15条違反の検討

(1) 権利保障

 憲法15条は参政権について保障している。

 そして、憲法上の権利は、外国人にも、権利の性質上、日本国民のみを対象としている憲法上の権利を除いて、保障されるものと解されるところ(マクリーン事件)、憲法15条は国民主権の原理(憲法前文、1条)に基づき公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならず、憲法15条によって保障される参政権はその性質上日本国民のみをその対象とする権利であるといえるから、外国人には保障されないものと解される。

 また、国民主権の原理、これに基づく上記憲法15条の趣旨、及び、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素をなすものであることに鑑みれば、憲法93条2項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右既定は我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。

(2) 憲法15条は外国人に地方参政権を保障することを要請しているかについて

 憲法第8章の地方自治に関する規定は民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事業は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解される。それゆえ、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについてその意思を日常生活に密接な関連性を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律を以て、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではなく、許容されているものと解するのが相当である。

 しかし、その措置を講じることは要請されるものとまでは言えない。

(3) 結論

 このように、外国人に地方参政権を認める措置をとることは、もっぱら国の立法政策にかかわる事柄であるから、このような措置を講じないからと言って違憲の問題を生じることはない。

 よって、定住外国人地方公共団体の選挙権を認めない地方自治法11条・18条、公職選挙法9条2項は、憲法15条に違反するものではない。

3 憲法14条違反の検討

 「法の下の平等」を定める憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。

 上記の通り、外国人に地方参政権は保障されておらず、また、地方公共団体が外国人の地方参政権を認める措置をとるかはもっぱら立法政策にゆだねられるものである以上、このような措置を講じないことは、不合理であるとは言えない。むしろ、国民主権の原理及びこれに基づく憲法15条の趣旨からすれば、このような措置を講じないことも、合理的であるといえる。

 よって、定住外国人地方公共団体の選挙権を認めない地方自治法11条・18条、公職選挙法9条2項は、憲法14条に違反するものではない。

 

百選4 外国人の公務就任権

1 意見の要旨

 本件の、日本国民でなければ課長級の管理職選考試験の受験を認めないとの運用は、外国人の公務就任権を侵害するものではなく、よって、Yによる本件のXの受験拒否は、Xの公務就任権を侵害するものではなく、合憲である。また、Yによる授権拒否は、憲法14条に違反するものでもない。

2 公務就任権侵害の検討

(1) 権利保障

 (公務就任権参政権に近い性質を持つが、選挙権と表裏の関係にない一般職の公務員への就任までを憲法15条1項によって基礎づけることは困難である。もっとも、)公務就任権は22条1項が保障する職業選択の自由に含まれるというべきである。個人から見た場合、公務員も職業の一つとみることができるからである。

 そして、基本的人権の前国家的性格や、国際協調主義(98条2項)の精神に照らせば、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶと解されるところ、職業選択の自由は権利の性質上、日本国民のみをその対象としているものとはいえない。そうであれば、職業のうち、公務に関しても、政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼすことのないものでない限りは、(国民主権の原理に反さないため、)外国人にも就任する権利が保障されるものと解すべきである。

(2) 制約

 それにもかかわらず、上記運用は、課長級の管理職選考試験につき外国人の受験を認めないこととしており、外国人の公務就任権を制約している。また、この制度のもとなされたYによる受験拒否は、Xの公務就任権を制約している。

(3) 正当化

 職業の自由は、生計を維持するための手段となるのみならず、社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性質を有し、各人が自己の持つ個性を全うすべき活動であり、個人の人格的価値と密接不可分の関係にある。それゆえ、職業がその性質上、社会相互関連性が大きく公共の福祉による制限を受けやすいとしても、その職業に対する制約が22条1項にいう公共の福祉のために要求されるものとして是認されるかどうかは、慎重に決定されなければならない。すなわち、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容および制限の程度を検討し、これらを比較考量したうえで、慎重に決する必要がある。そして、その際、このような検討と考量をするのは第一次的には立法府の権限と責務であり、裁判所はその判断を尊重すべきものではあるが、かかる立法府の合理的裁量の範囲は、事の性質上、おのずから広狭があるから、ここでも、規制の目的、対象、態様等を考えあわせ裁量のを判断し、これに対応して合憲性判定の基準を定める必要がある。具体的には、狭義の職業選択の自由そのものに制約を課するものは、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには原則として重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、これが、一般にその公共性にかんがみ厳格・強度に規制されやすく慎重に審査する必要があり、立法府の政策的技術的な裁量にゆだねるほかない積極的な目的による規制に比べて裁量があまり妥当しない消極的、警察的措置等である場合には、許可制に比べて職業の自由に対する よりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要する。

 確かに、本件で問題となっている国籍要件は狭義の職業選択の自由そのものに制約を課すものである。

 また、その目的は、憲法の基本原理である国民主権の原理を確保するという、消極的、警察的措置と同様、その公共性にかんがみ厳格・強度に規制されやすく、積極的な目的による規制に比べ立法府の政策的技術的な裁量が妥当しがたいものであるとも思える。しかし、国家公務員の具体的な人事制度については立法裁量が認められる(憲法73条4号)のであって、その国家公務員につき、昇任の結果、将来、公権力の行使等に係る可能性があるとする人事制度を法律によって設けることも可能であると考えられる。そうであるならば、仮に非管理者である国家公務員への公務就任権が外国人にも認められる憲法上の権利であるとしても、上記のような人事制度を構築した結果、国民主権との関係ゆえにその人事制度において非管理職である国家公務員に対する外国人の公務就任権に制約が生じることも当然あり得る。それゆえ、公務就任権が外国人にも認められるとするのだとしても、公務就任権に関する制限の合憲性は緩やかな審査基準、すなわち立法目的が合理的であるか、手段と立法目的との間に合理的関連性があるかによって判断すべきであるということができる。

 これを本問についてみると、上記のような人事制度のもと、国家公務員試験の受験資格として国籍要件を設け、国家公務員の就任資格を日本国民に限定した目的は、一体的な人事制度をとることによって人事の適正な運用を図りつつ、国民主権を維持し、公務の適正な遂行を可能とすること等にあるところ、この目的は、合理的である。

 また、上記のような人事制度を構築することにつき立法裁量が認められることからすれば、そのような人事制度を構築したうえで、将来、公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わる公務員へと就任する可能性がある公務員については日本国民である職員に限って就任することができることとする措置をとることは、目的との間で合理的関連性を有するものといえる。

(4) 結論

 よって、本件運用のもと、YがXの受験を拒否したことは、Xの公務就任権を侵害するものではなく、合憲である。

3 憲法14条違反の検討

 「法の下の平等」を定める憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。

 そうであれば、上記の通り、本件運用の目的、手段に合理性が認められ、YによるXの受験拒否も合理性を有するといえる以上、Yによる受験拒否は、日本国民である職員と在留外国人である職員とを合理的な理由に基づき区別するものであるといえる。

 よって、Yによる受験拒否は、憲法14条1項に反さず、合憲である。