○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

百選起案 憲法(7版) 9~11

 

百選8 八幡製鉄事件

1 意見の要旨

 本件の、Y1、2による政治献金は、①法人にも保障される政治献金の自由に基づくものであり、会社の目的の範囲(民法34条)内の行為であるといえるから、有効というべきであり、また、②従業員であるXらの思想良心の自由を侵害するものではないし、公序良俗民法90条)にも反さないから、この観点からも有効である。よって、Y1、2に任務懈怠責任の問題は生じない。(※ さらに、Xらとしては、③「本件政治献金は、その額が不相当であり、役員の善管注意義務ないし忠実義務違反がある」と主張し、やはり任務懈怠責任を追及することが考えられるが、これも認められないというべきである…が、これは憲法上の論点ではないためここではこの検討は省略する)

2 ①について

(1) 法人の人権享有主体性について

 法人は社会に不可欠な構成要素として自然人とともに社会的実在として扱われるものであるから、法人にも権利の性質上可能な限りの人権の享有主体性が認められるものと解すべきである。

 そして、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であることに鑑みれば、政党への政治献金により、政党の健全な発展に協力することは、法人についても社会的実体として当然に期待される行為であるといえるため、憲法21条1項によって政治的表現行為の一環として保障されるべき政治献金の自由は、権利の性質上、法人にも認められるものであるといえる。

(2) 「目的の範囲内」の行為であるか否かについて

 以上に鑑みると、政治献金行為を、会社の定款所定の目的の範囲内の行為とすることは、当然可能である。

 そして、取引の安全の見地からは、法人の「目的の範囲内」の行為は、定款に記載された目的自体に限定されるものではなく、「目的の範囲内」の行為には、その目的を遂行するうえで直接または間接に必要な行為まで包含されると解すべきであり、その判断は、当該行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断すべきであるところ、いかなる政党に政治献金をするか否かは、選挙における投票の自由と表裏をなすものとして各人が自主的に決定すべき事柄であるのであって、会社には、さまざまな思想・信条及び主義・主張を有する者が存在することが当然に予定されているのであるから、政治献金行為が「目的の範囲内」の行為として許容されるか否かの判断に当たっては、その構成員の思想・信条との関係での考慮が不可欠となる。もっとも、会社は、司法書士会や税理士会といった脱退の自由が実質的に保障されていない強制加入団体とは性質が異なる。すなわち、政治献金行為が「目的の範囲」内の行為であるといえるかの判断に当たってなされる、その構成員の思想・信条との関係での配慮の必要性は、それほど必要がない。そこで、法人のうちでもとりわけ会社の政治献金行為は、客観的・抽象的に見て、会社の目的を遂行するうえで直接ないしは間接に必要な行為といえ、「目的の範囲内」の行為であるというべきである。

(3) 結論

 よって、本件政治献金は、無効とは言えない。

2 ②について

(1) 憲法19条は、思想良心の自由について保障している。

 もっとも、憲法19条の規定は、「国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。」しかし、「私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるとき」には、「私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、」その「適切な調整を図る」べきである。

(2) 本件において、Y1、Y2らは、Xらに政治献金のための金銭的負担を課しているところ、Xらはしたくもない政党への金銭的支出を事実上強制されているものということができる。

 もっとも、株式会社の場合は強制加入団体とは異なり株式を譲渡することで会社から脱退することができる。他方で、上記の通り、会社も政治資金の寄付をする自由を有している。以上に鑑みれば、本件政治献金は、Xらの思想・良心を侵害するものとまでは言えないと考えるべきである。

(3) よって、本件政治献金公序良俗に反するとはいえないため、有効である。

3( ③について

 当該政治献金が法令の範囲内であっても、不当な目的で政治献金をすることや、当該政治献金の必要性や会社の資産・収益状態等に鑑みて不相当な額の献金をすることは、取締役の善管注意義務・忠実義務に反すると解する。もっとも、本件政治献金を行うにつき不当な目的があったとの事情は見受けられない。また、会社が行った政治献金の総額は政治資金規制法による制限内であり、不相当な額とはいえない。したがって、取締役 Y の善管注意義務・忠実義務違反はないというべきである。

4) 結論

 以上より、Y1、2らの任務懈怠責任の問題は生じない。

 

A1 外国人の出国の自由

1 意見の要旨

 出入国管理令25条1項・2項は、外国人にも保障される出国の自由(22条2項)を侵害するものではない。

2 権利

 憲法22条2項は、「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」と規定している。

そして、憲法上の権利は、(基本的人権の前国家的性格、国際経主義(98条1項)の精神に照らせば、)外国人にも、権利の性質上、日本国民のみを対象としている憲法上の権利を除いて保障されるものと解されるところ(マクリーン事件参照)、外国移住の自由はその権利の性質上外国人に限って保障しないという理由はない。それゆえ、政治活動の自由は、権利の性質上、外国人であるXにも保障されるというべきである。

3 制約

 出入国管理令25条1項・2項は、本邦外の地域に赴く意図をもって出国しようとする外国人は、その者が出国する出入国港において入国審査官から旅券に出国の証印を受けなければ出国してはならないとしているところ、これは、「出国それ自体を法律上制限するものではなく、単に、出国の手続に関する措置を定めたものであり」、「かゝる手続的措置のために外国移住の自由が制限される結果を招来するような場合がある」ことは否めない。

4 正当化

 もっとも、出入国管理令25条1項・2項は、「出国それ自体を法律上制限するものではなく、単に、出国の手続に関する措置を定めたものであ」るにすぎない。そうすると、上記の通り「かゝる手続的措置のために」事実上「外国移住の自由が制限される結果を招来するような場合があるにしても、」それは、「同令1条に規定する本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を行うという目的を達成する公共の福祉のため設けられたものであつて、合憲性を有するものと解すべきである。」

5 結論

 よって、出入国管理令25条1項・2項は、外国人にも保障される出国の自由(22条2項)を侵害するものではない。

 

A2 森川キャサリーン事件

1 意見の要旨

 外国人であるXには、再入国の自由及び外国へ一時旅行する自由が保障されていないから、本件の再入国認可申請に対する不許可処分が違憲であるということはできない。

2 権利保障

 憲法上の権利・自由には前国家的な性質を有するものもあること、及び、国際協調主義の観点からは、権利の性質上、日本国民のみを対象としている憲法上の権利を除いて、外国人にも憲法上の権利・自由は保障されるものと考えられる(マクリーン事件)。

 もっとも、国際慣習法上、入国の許否は国家の主権としての自由裁量に属することから、外国人に入国の自由はなく、それゆえ在留権も保障されない(前掲マクリーン事件)。したがって、日本国外へ一時旅行する自由は保障されず、再入国の自由も保障されない(森川キャサリーン事件)。

3 結論

 それゆえ、本件の再入国認可申請に対する不許可処分が、違憲であるということはできない。もっとも、在留外国人の場合には、日本社会との関わりも深く、新規入国と全く同列に論ずることはできないのも事実である。そこで、在留外国人一般に権利として再入国の自由を認めるのは難しいとしても、本件の再入国認可申請に対する不許可処分が、法務大臣の裁量を逸脱・濫用するものとして違法である(行政事件訴訟法30条)と判断されることはあるのではないかと思われる。

 

百選9 三菱樹脂事件

1 意見の要旨

 Yが、使用期間満了直前にXの採用を拒否したことは、Xの思想・良心の自由(19条)を侵害するものであるとも、14条1項に反するものであるともいえない。また、民法90条等の一般原則に反するものともいえない。

2 19条・14条1項違反の検討

 憲法19条は、思想・良心の自由について保障している。そして、同条は、その者の思想・良心の告白を強制すること、及び、その思想・良心ゆえにその者を不利益に取り扱うことを、禁止する趣旨であるといえる。そして、本件においては、Yは、Xが採用試験における面接時に学生運動歴につき事実と異なる回答をしていたということを以て、或いは、Xの学生運動歴から推知されるXの思想・良心それ自体を以て、Xの採用を拒否しているものと考えられるから、本件採用拒否は、Xの有する思想・良心の自由を制約するものであるといえる。

 また、憲法14条1項は、「法の下の平等」について規定しているところ、本件においては、Xの学生運動歴から推知されるXの思想・良心のゆえをもってXを他の使用期間中の者と別異に取り扱っており、14条1項違反の疑いを生じさせ得る。

 もっとも、本問でXにかかる制約を課している主体は、Yという私人である。憲法19条・14条の規定は、「国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。」そこで、本件のYによる裁量拒否は、19条、14条1項に反するものとはいえない。

3 民法90条違反の検討

 しかし、「私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるとき」には、「私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、」その「適切な調整を図る」べきである。

 そこで、本件においては、Yの採用拒否が、民法90条に反するものとして、無効とされないかが問題となる。憲法22条、29条等は広く経済活動の自由を基本権的人権として保障しているところ、「企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであって、」企業者が、思想・良心を推知しうる学生運動歴を告白しなかった者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、或いは、「企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもつて雇い入れることを拒んでも」、それが、「直ちに民法上の不法行為」を構成するという「ことができないことは明らかである」。そして、本件においては、YとXの間には3カ月の使用期間を付した雇用契約が締結されており、本採用拒否は留保解約権の行使に該当するところ、その行使は、Xはあくまで使用期間中であるにすぎなかったこと、及び、Xが、継続的な信頼関係を前提とする雇用契約締結のための面接に際して虚偽の事実を述べていたこと等の事情に鑑みれば、「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当」なものであるということができる。以上のように、本件採用拒否については、「公序良俗違反と解すべき根拠」を「見出すことはできない」から、民法90条に反し無効ということにはならない。

5 結論

 よって、Yが、使用期間満了直前にXの採用を拒否したことは、Xの思想・良心の自由(19条)を侵害するものであるとも、14条1項に反するものであるともいえないし、民法90条等の一般原則に反するものともいえない。

 

百選10 昭和女子大事件

1 意見の要旨

 Yなした本件退学処分は、Xの思想・良心の自由(19条)や表現の自由(21条)を侵害するものではなく、また、公序良俗(民法90条)に反するものであるともいえない。それゆえ、Xは学生たる地位を有しない。

2 19条、21条違反の検討

 憲法19条は、思想・良心の自由について保障している。それゆえ、国等がその者が一定の思想・良心に着目してその者を不利益に取り扱ったという場合には、その者の有する思想・良心の自由に対する制約が認められるところ、Yによる本件退学処分は、Xが行った政治的活動から推知される思想・良心ゆえにXに課されたものであるとまでは言えない。

 もっとも、憲法21条1項は、表現の一環としての政治的活動の自由も保障しているものと解されるところ、本件退学処分は、Xが一定の思想・良心に基づく政治的活動を行ったがゆえになされたものである。それゆえ、Yによる本件退学処分はXの政治的活動の自由をも制約するものであるといえる。

 とはいえ、本問でXにかかる制約を課している主体は、Yという私人である。憲法21条の規定は、「国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由…を保障する目的に出たもので、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。」

それゆえ、本件のYによる退学処分は、19条、21条に反するものとは言えない。

3 民法90条違反の検討について

 しかし、「私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるとき」に限って、「私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、」その「適切な調整を図る」べきである。そこで、本件処分が公序良俗違反(民法90条)として無効とならないかが問題となる。

 大学は、国公立であると私立であるとを問わず、学生の教育と学術の研究を目的とする公共的な施設であり、法律に格別の規定がない場合でも、その設置目的を達成するために必要な事項を学則等により一方的に制定しこれによって在学する学生を規律する包括的権能を有する。特に、私立大学は、建学の精神に基づく独自の伝統ないし校風と教育方針とによって社会的存在意義が認められ、学生もそのような伝統ないし校風と教育方針の下で教育を受けることを希望して当該大学に入学するものと考えられるのであるから、上記の伝統ないし校風と教育方針を学則等において具体化し、これを実践することが当然認められるべきであり、学生も、当該大学で教育を受ける限り、これに従う義務を負うことにな。他方、学校当局の有する包括的権能は、在学関係規定の目的と関連し、かつ、その内容が社会通念に照らして合理的と認められる範囲においてのみ是認されるものであるが、具体的に学生のいかなる行動についていかなる程度方法の規制を加えることが適切であるとするかは、各学校の伝統ないし校風や教育方針によってもおのずから異なる。それゆえ、私立大学のなかでも、学生の勉学専念を特に重視しあるいは比較的保守的な校風を有する大学が、その教育方針に照らし学生の政治的活動はできるだけ制限するのが教育上適当であるとの見地から、学内及び学外における学生の政治的活動につきかなり広範な規律を及ぼすこととしても、これをもって直ちに社会通念上学生の自由に対する不合理な制限であるということはできない。また、確かに、大学の学生に対する懲戒処分は、教育及び研究の施設としての大学の内部規律を維持し、教育目的を達成するために認められる自律作用であって、懲戒権者たる学長が学生の行為に対して懲戒処分を発動するにあたり、その行為が懲戒に値するものであるかどうか、懲戒処分のうちいずれの処分を選ぶべきかを決するについては、諸般の要素を考慮する必要があり、これらの点の判断は、学内の事情に通暁し直接教育にあたる者の合理的な裁量に任すのでなければ、適切な結果を期しがたいが、その一方で、退学処分は、他の懲戒処分と異なり、学生の身分をはく奪する重大な措置であることにかんがみれば、当該学生に改善の見込みがなく、これを学外に排除することが教育上やむをえないと認められる場合にかぎって退学処分を選択すべきであって、「学校の秩序を乱し、その他学生としての本分に反した」ものとして退学処分を行うにあたっては、その要件の認定につき他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮を要することはもちろんであるが、退学処分の選択も前記のような諸般の要素を勘案して決定される教育的判断にほかならないことを考えれば、具体的事案において当該学生に改善の見込みがなくこれを学外に排除することが教育上やむをえないかどうかを判定するについて、あらかじめ本人に反省を促すための補導を行うことが教育上必要かつ適切であるか、また、その補導をどのような方法と程度において行うきか等については、それぞれの学校の方針に基づく学校当局の具体的かつ専門的・自律的判断に委ねざるをえない。したがって、当該事案の諸事情を総合的に観察して、その退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものである場合には、同処分は、懲戒権者の裁量権の範囲外にあるものとして、その効力を否定されることになるものと解すべきである。

 これを本件についてみると、Xらには生活要録違反を犯したことについて反省の実が認められず、特にYができるだけ穏便に解決すべく説論を続けている間に、Xらが週刊誌や学外の集会等において公然と大学当局の措置を非難するような行動に出たことは、同人らがもはやYの教育方針に服する意思のないことを表明したものと解されてもやむをえないところであり、これらは処遇上無視しえない事情といわなければならない。よって、Yが、Xらの一連の行為を「学内の秩序を乱し、その他学生としての本分に反した」ものと認めた判断は、社会通念上合理性を欠くものであるとはいいがたく、結局、本件退学処分は、懲戒権者に認められた裁量権の範囲内にある。

4 結論

 よって、本件処分は公序良俗に反せず、有効である。それゆえ、Xらは学生たる地位を有しない。 ※ 公立学校なら、行政事件訴訟法30条の判断の中で処理。

 

百選11 女子定年制事件

1 意見の要旨

 Y会社の「従業員は、男子満55歳、女子満50歳をもって定年と…する」との就業規則の定めは、憲法14条に反するものではないが、民法90条に反するものであって、無効である。

2 14条1項違反の検討

 憲法14条1項は、「法の下の平等」について規定している。

そうすると、Xら女性と、そうでない者とを、別異に取り扱う旨の本件就業規則は、同条項に反して違憲無効であるということができるのではないかとも思える。しかし、上記別異取扱いをしている主体は、Yという私人である。憲法14条の規定は、「国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障する目的に出たもので、もっぱら国または公共団体と個人との関係を規律するものであり、私人相互の関係を直接規律することを予定するものではない。」それゆえ、本件の上記就業規則部分は、14条1項に違反するものであるということはできない。

3 民法90条違反の検討

 とはいえ、「私的支配関係においては、個人の…平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるとき」には、「私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、」その「適切な調整を図る」べきである。

 そこで、本件就業規則が、憲法14条1項の趣旨に反するものとして、民法90条に反し無効である、ということができないかが問題となる。

 ここで、憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。もっとも、「女子従業員全体を会社に対する貢献度の上がらない従業員とみるべき根拠はなく」、「少なくとも六〇歳前後までは男女とも右会社の通常の職務であれば職務遂行能力に欠けるところはなく、一律に従業員として不適格とみて企業外へ排除するまでの理由はない」。このように、「会社の企業経営上定年年齢において女子を差別しなければならない合理的理由」は「認められない」。

4 結論

 よって、本件の、女子の定年年齢を男子より低く定めた就業規則部分は、性別のみによる不合理な差別を定めたものとして民法90条の規定により無効である。