○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

ケースブック刑法 起案 第3講

第3講 実行行為の開始時期と責任能力の存在時期

1 実行の着手―最高裁の実質的危険判断

第1 設問1

1 本件においては、輸入罪の未遂罪の成立は認められるか。

2 刑法43条は、犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することが出来るとする。同条の趣旨は、既遂犯の構成要件該当性が認められない場合にも、既遂結果の発生の危険性がある行為について、これを処罰することである。よって、同条の実行の着手が認められるには、既遂成立の具体的危険をさし、その危険が生じることが必要と考える。

 本件についてみるに、もともと、海という広大かつ明確な目印が起きにくい場所においては、実際に覚せい剤を発見することは困難であったといえるところ、本件においては、さらに、27日は悪天候であったという事情もあり、覚せい剤を発見することはおよそ困難であったといえる。それゆえ、本件においては、回収担当者が覚せい剤をその実力的支配の下に置いていないばかりか。その可能性にも乏しく、覚せい剤が陸揚げされる客観的な危険性が発生したとはいえない。

 それゆえ、本件輸入罪の実行の着手があったものとは解されない。

3 よって、同未遂罪は成立しない。

 

 2 窃盗罪の実行の着手

学説

   

説明

本件

 

主観説

 

犯意が明確になった時

犯意の飛躍的表動が認められるときに、実行の着手あり
犯意の成立が確定的となる行動が行われたときに、実行の着手あり

あり

 

客観説

         
 

形式的客観説

 

構成要件に属する行為の一部を行うこと、構成要件に属する行為に密接する行為を行うことにより実行の着手ありとする

あり

 
 

実質的客観説

 

結果発生の現実的危険を惹起する行為を行うことにより実行の着手あり

あり

 
   

行為危険性説

法益侵害の現実的危険性と基準とし、行為者の行為時に危険がある

あり

 
   

結果危険性説

法益侵害の具体的危険性を基準とし、この危険の発生を未遂の要件とする。着手時点は、行為以降に当該行為が結果発生の切迫した危険性を有した時点とする

なし

 

 

3 強姦罪(強制性交罪)の実行の着手

第2 設問2

1 Xに強制性交未遂罪(177条)は成立するか。Xに強姦の着手が認められるか否かが問題となる。

2 刑法43条は、犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することが出来るとする。同条の趣旨は、既遂犯の構成要件該当性が認められない場合にも、既遂結果の発生の危険性がある行為について、これを処罰することである。よって、同条の実行の着手が認められるには、既遂成立の現実的危険性の発生が認められることが必要と考える。

 本件についてみるに、まず、最初にHを車に連れ込もうとする段階においては、車は距離の離れた位置にとめられていたこと、しかも、自動車のドアすら開いていなかったこと、さらに、場所は市内の道路であり、人目にもつきやすい場所だったのであったことを考慮すると、およそ、この段階では、強制性交罪の結果発生の現実的危険性は、発生していたとはいえない。よって、この段階における強制性交罪の実行の着手は認められない。

 では、駐車場内でHを引きずり込もうとした段階においてはどうか。この行為は、市内の道路よりは人目に付かない場所において行われている。もっとも、この行為がなされた場所は、Xの車からなお距離が離れていた。それゆえ、この段階においてもXが強制性交罪の結果を実現することはおよそ困難であったと考えられる。

 したがって、強制性交罪の実行の着手は認められない。

4 もっとも、Xは財物奪取の意図をもってHに暴行を加えているところ、成人男性が女性を力いっぱい引っ張ったりすることは犯行抑圧程度の暴行といえる。それゆえ、この行為は、強盗罪の結果を発生させる現実的危険性のある行為であるといえるため、本件においてはXによる強盗罪の実行の着手があったといえる。

 よって、それにもかかわらず、Xが、「これを遂げ」ることができなかった本件においては、Xには、強盗未遂罪(243条、246条)が成立する。