○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

百選・Law Practice会社法 起案 9~12

9  他人名義による株式の引受け 最高裁昭和 42 11 月 17 日第二小法廷判決

【事実の概要】 Y株式会社の代表取締役である訴外Aは、従業員であるXの承諾を得てその名義を借用し、Xに特別賞与として金銭を支給したこととし、実際には当該金額を会社に留保したままで新株発行を行った。なお、株券は、Aに対し発行された。XはYに対し、株券発行を求めて本訴を提起した。

【問題の所在】 他人の承諾を得てその名義を借用して引き受けた株式について、株式の引受人となるのは名義貸与者か、名義借用者か、法文上明らかでなく問題となる。

【まとめ】 株式の引受および払込みについて、真に契約の当事者として申込をした者を引受人とすることが、私法一般の法律行為の解釈と整合する。また、承諾なく他人名義を用いた場合には名義借用者が株主となることとの均衡を図る必要がある。そこで、他人の承諾を得てその名義を用い株式を引受けた場合においては、名義貸与者ではなく、実質上の引受人である名義借用者が株主となるものと解する。

 

10 相続による株式の共有  最高裁平成 2 12 月 4 日第三小法廷判決

【事実の概要】 XはCらと株式を共同相続した。しかし、会社法 106 条所定の権利行使者の届出を行っていなかった。Xは株主総会不存在確認訴訟を提起したところ、CらはXが株式を共同相続しているとしても、持分権者のままでは株主としての権利を行使することはできないこと等を主張して、Xの原告適格を争った。

【問題の所在】 Xは相続によって株式を準共有しているにもかかわらず、権利行使者の届出をしていない(会社法106 条参照)。そこで、Xは「株式についての権利を行使」することができず、株主総会決議不存在確認訴訟の原告適格を認めることができないのではないか。

【まとめ】 株式は、株主たる被相続人の死亡によって、自益権のみならず共益権とともに、相続人によって包括承継される(民法 896 条)。次に、株式は単に一定の配当を受領する権利あるいは売却して代金を受領する権利というような金銭的価値だけを有するにすぎないものではなく、議決権などの会社の経営に関与する権利を含んだ会社に対する地位を表彰するものであるから、民法 427 条の適用がある可分給付を目的とする債権ではない。また、割り切れない端数については、準共有関係を承認せざるをえないことから、株式について共同相続が開始する場合には、相続分に応じた準共有関係(民法 264 条本文参照)が生じると解する。したがって、共同相続によって株式について準共有関係が生じるから、共同相続人間で権利行使者を定め、届出をすることによってのみ株主権を行使することができる(会社法 106 条)。これは、会社訴権においても同様であるから、権利行使者を定めず、届出も行っていない場合には、特段の事情がない限り、株主総会決議不存在確認訴訟の原告適格を欠き、訴え却下となるのが原則である。もっとも、共同相続人の一部の者のみによって不正な会社運営がなされることを防止する必要から、共有株式が発行済株式の全部に相当し、共同相続人のうち1人が取締役として選任登記がなされている場合には、例外的に特段の事情があるものとして、原告適格を認めるべきと解する。

 

11 共有株式の権利行使者の指定方法 最高裁平成 9 1 月 28 日第三小法廷判決

【事実の概要】 本件は、有限会社の出資持分を準共有する共同相続人の一部の者が、会社法 106 条の権利行使者の選定をしないまま、同有限会社の社員総会の決議不存在確認の訴えを提起した事案。

【問題の所在】 権利行使者の指定方法について、どのように決すべきか、同条は、「権利を行使することができる者一人を定め」と規定しているのみで、その方法については規定していないため問題となる。

【まとめ】 準共有者の全員が一致しなければ権利行使者を指定することができないとすると、準共有者のうち一人でも反対すれば全員の社員権行使が不可能となるのみならず、会社の運営にも支障を来すおそれがあり、会社の事務処理の便宜を考慮して設けられた会社法 106 条の趣旨に反する。そこで、選定行為自体を準共有者全体の利益になると考え、権利行使者の選定行為の法的性質を共有物の管理行為(民法 252 条本文)と構成すべきと解する。したがって、持分の準共有者間において権利行使者を定めるに当たっては、持分の価格に従って、その過半数をもって決すべきと解する。 ⇒  本件では、X らおよび C は持分(株式)の価格の多数決によって権利行使者を定め、それを Y らに通知したうえで、その権利行使者が社員株主総会決議不存在確認の訴えを提起すべきであったことになる。

 

12 会社法106条但書の法意  最高裁平成27年2月19日第一小法廷判決

【事実の概要】 本件は、Y社の発行済株式の総数3000株のうち2000株をBと2分の1ずつの持分割合で準共有(民法264条)しているXが、Y社の株主総会決議には、決議の方法等に法令違反があると主張して、Y社に対し、会社法831条1項1号に基づき、株主総会決議の取消しを求めた事案。上記の2000株(本件準共有株式)について、会社法106条本文の規定に基づく権利を行使する者の指定及びY社に対する通知はなされていなかったが、Y社がBによる本件準共有株式全部についての議決権の行使に同意したことから、同条ただし書により、本件議決権行使が適法なものとなるかが争われた。

【問題の所在】 ①会社法106条本文の規定に基づく指定および通知を欠いたままなされた本件議決権行使は、同条ただし書のY社の同意によって適法なものとなるか。同条ただし書の法意をどのように解するかと関連して問題となる。②準共有株式の議決権行使の性質。

【まとめ】 ①会社法106条本文は、共有に属する株式の権利行使の方法について、民法の共有に関する規定に対する「特別の定め」(民法264条ただし書)を設けたものである。その上で、会社法106条ただし書は、「ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。」と規定している。これは、その文言に照らすと、株式会社が当該同意をした場合には、共有に属する株式についての権利の行使の方法に関する特別の定めである同条本文の規定の適用が排除されることを定め同条本文が同条ただし書にたものと考えることができる。そうすると、共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式について権利が行使された場合において、当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものではないときは、株式会社が同条ただし書の同意をしても、当該権利の行使は、適法となるものではないと解すべきである。②共有に属する株式についての議決権の行使は、当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し、より打ち消された後の規律については、同条本文と準共有に関する民法 264 条との関係から、準共有株式についての権利の行使は民法の共有に関する規定に従っている必要がある。又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り、株式の「管理」(民法252条本文)に関する行為に従い、その過半数で決すべきものと解する。 ⇒  本件議決権行使の対象となった議案は、①取締役の選任、②代表取締役の選任並びに、③本店の所在地を変更する旨の定款の変更及び本店の移転であり、これが可決されることによって直ちに本件準共有株式が処分され、又はその内容が変更されるなどの特段の事情は認められないため、本件議決権行使は、本件準共有株式の管理に関する行為として、各共有者の持分の価格に従って、その過半数で決せられるものである。そして、本件議決権行使をしたBは本件準共有株式について2分の1の持分を有するにすぎず、また、残余の2分の1の持分を有するXが本件議決権行使に同意していないことは明らかである。そうすると、本件議決権行使は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決せられているものとはいえず、民法の共有に関する規定に従ったものとはいえない。したがって、Y社がこれに同意したとしても、適法となるものではない。よって、本件議決権行使が不適法なものとなる結果、本件各決議は、決議の方法が法令に違反するものとして、取り消されるべきものである。

 

Law Practice7 相続による株式の準共有

1 小問(1)について

(1) XとしてはY社の株主として、株主総会決議取消の訴え(831条1項)ないし株主総会決議不存在の確認の訴え(830条1項)を提起することが考えられる。

ア もっとも、遺産共有状態にある本件株式については権利行使者の「通知」(106条本文)がされていないことから、原則として X は本件「株式についての権利を行使することができ」ない。そのため、X には原告適格が認められないのではないか。「株式についての権利」に提訴権が含まれるかが問題となる。

 ここで、権利行使者の指定と通知を要求した同条の趣旨は、権利行使者だけが権利を行使することができるとすることにより、共有者全員が個々に権利を行使することにより生じうる混乱を回避するという会社の事務処理の便宜を図る点にあるところ、かかる趣旨は訴訟提起という権利行使についても妥当する。

そこで、「株式についての権利」とは、訴訟提起を含む株式から生じるすべての権利と解される。

 したがって、共有者の1人が訴訟を提起するためには、上記権利行使者の指定・通知をする必要がある。そして、これを欠く場合は、会社側に信義に反する行為が認められる特段の事情のない限り原告適格を欠くことになるものと考えられる。

 そうすると、本件においてX らは、本件株式について権利行使者の指定・通知をしていないのであるから、Xらには原告適格が認められないのが原則である。

イ もっとも、本件株式はY社の発行済株式総数の51%を占める。そうすると、(Y社定款には株主総会の決議要件について別段の定めがない本件においては、)本件株式に係る議決権行使がされなければ、本件株主総会は定足数要件(309条1項)を満たさず不成立となる以上、定足数を満たし決議が有効に存在したことを主張立証すべき立場にある会社が、本件株式を準共有する者が権利行使者の指定・通知を怠ったとして、その原告適格を争うことは、決議の瑕疵を自認し、本案における自己の立場を否定するものである。

 よって、Y社には信義に反する行為があり、特段の事情がある。

ウ したがって、Xには原告適格が認められる。

(2) では、本件株主総会決議は認容されるか。

ア 株主総会を招集するには、取締役は事前に株主に対して招集通知をする必要があるところ(299条1項)、126条3項の通知がない場合、会社は共有者の1人に対して通知をすれば足りるところ(同4項)、本件株式について、本件株主総会の招集通知は本件株式の共有者の誰に対してもなされていない。したがって、本件株主総会は「招集の手続」につき、299条1項という「法令…に違反」する(831条1項1号)取消事由がある。

イ そして、招集通知は、株主の議決権の行使を保障するために必要なものであるから、「違反する事実が重大でな」いとはいえない。したがって、裁判所は、裁量棄却をすることはできない。

ウ よって、決議取消の訴えについては認容されるものと考えられる。

(3) では、株主総会決議不存在の確認の訴えについてはどうか。

ア 不存在事由については明文の規定を欠く。そこで、解釈が必要であるところ、不存在事由については、①決議が物理的に存在しない場合、②物理的には決議は存在するが、その手続の瑕疵が激しいため法律上決議が存在したとは評価できない場合に認められると解される。

イ 本件株主総会はそもそも、実際に開催されているかも明らかではない。そのため、①決議が物理的に存在しないか、あるいは、仮に実際に開催されているとしても、②上記のようにY社株式の過半数に当たる本件株式について招集通知を欠く結果、その手続の瑕疵が激しく法律上決議が存在したとは評価できないものといえる。

ウ したがって、不存在事由が認められるため、これについても認容されるのではないかと思われる。

(4) 以上の通り、Xは本件決議の瑕疵を争うことができる。

2 小問(2)

 X は Y 社の株主として 433 条 1 項に基づいて、会計帳簿の閲覧・謄写請求をする。もっとも、会計帳簿の閲覧・謄写請求権は株主が有する監督是正権の 1 つであるところ、「株式についての権利」(106 条)に当たる。そこで、会計帳簿の閲覧・謄写請求をするためには権利行使者の指定・通知をする必要がある。具体的には、権利行使者の指定は共有物の管理行為(民 252 条本文)に当たるから、持分の過半数をもって行うと解する。

 本件において、本件株式にはいまだ共有状態にある。しかし、X の法定相続分は 4 分の 3 であるところ、X は本件株式の過半数の持分を有する。そのため、その X が上記請求をしたということは自らを本件株式の権利行使者と指定して、その旨を Y 社に対し通知したといえる。

 したがって、X の上記請求は認められる。