○○法ガールになりたい。

○○法ガールといえるほど法学をマスターしたいなと思い作成したブログ。司法試験受験生。最近勉強なんてやめて結婚に逃げたい。

百選起案 憲法(7版) 25~28

百選25 尊属殺重罰規定事件

1 意見の要旨

 刑法200条の規定は、憲法14条に違反するものであり、無効である。それ故、これに基づきXを通常の殺人に比して重く処罰することは許されない。

2 憲法14条が許容する別異取り扱いの範囲について

 「法の下の平等」を定める憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。

3 具体的検討

 そして、本件区別は、殺人の客体との関係でその者が子であるか、そうでないかという事情に基づくものであるところ、憲法14条1項の「後段列挙の事項は例示的なものである」ため、このような、後段列挙事由以外の理由に基づく区別であっても、憲法14条1項違反の問題は生じる。

 そこで、その合理性審査の密度については、①差別の基礎事由や、②被侵害利益、③裁量の広狭等を考慮して、決定すべきであるところ、①殺人の客体との関係でその者が子であるか、そうでないかは、本人の努力によっても変えることのできない事柄である。②また、区別によって生じる不利益は、課せられる刑罰が重くなり得るという重大なものである。③もっとも、刑罰法規の制定や刑罰権の行使に関しては国家の側に裁量が認められる。そうであれば、本件の別異取り扱いの合理性は、緩やかに判断せざるを得ない。 ※ もう少し厳しめにしても良いのではないかと思うが・・・。

 具体的には、立法目的及び立法目的を達成するための手段が著しく不合理でない限り、このような別異取り扱いは、合理的根拠に基づくものと評価し、憲法14条に反しないものであると解すべきである。

 「刑法200条の立法目的は、尊属を卑属またはその配偶者が殺害することをもって一般に高度の社会的道義的非難に値するものとし、かかる所為を通常の殺人の場合より厳重に処罰し、もって特に強くこれを禁圧しようとするにある」。「尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義というべく、このような自然的情愛ないし普遍的倫理の維持は、刑法上の保護に値する」。「しかるに、自己または配偶者の直系尊属を殺害するがごとき行為はかかる結合の破壊であって、それ自体人倫の大本に反し、かかる行為をあえてした者の背倫理性は特に重い非難に値する」。「このような点を考えれば、尊属の殺害は通常の殺人に比して一般に高度の社会的道義的非難を受けて然るべきであるとして、このことをその処罰に反映させても、あながち不合理であるとはいえない」。

 「そこで、被害者が尊属であることを犯情のひとつとして具体的事件の量刑上重視することは許されるものであるのみならず、さらに進んでこのことを類型化し、法律上、刑の加重要件とする規定を設けても、かかる差別的取扱いをもってただちに合理的な根拠を欠くものと断ずることはでき」ない。もっとも、「加重の程度が極端であって、前示のごとき立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、これを正当化しうべき根拠を見出しえないときは、その差別は著しく不合理なもの」として違憲となるところ、「刑法200条の法定刑は死刑および無期懲役刑のみであり、普通殺人罪に関する同法199条の法定刑と比較して、刑種選択の範囲が極めて重い刑に限られている」。これでは、「現行法上許される2回の減軽を加えても、尊属殺につき有罪とされた卑属に対して刑を言い渡すべきときには、処断刑の下限は懲役3年6月を下ることがなく、その結果として、いかに酌量すべき情状があろうとも法律上刑の執行を猶予することはできないのであり、普通殺の場合とは著しい対照をな」している。それゆえ、「刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限っている点において、その立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをするものと認められ」る。

4 結論

 それゆえ、刑法200条は、憲法14条1項に違反して無効と解すべきであり、したがって、これに基づきXを重く処罰することは許されない。

 

百選26 国籍法違憲判決

1 意見の要旨

 「準正子」と「父母が内縁関係にある非嫡出子」との間で国籍要件に差を設けている国籍法3条1項は、憲法14条1項に違反するものであるから、国籍法3条1項のうち、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子」を区別して取扱う部分については、無効と解すべきである。

2 憲法14条が許容する別異取り扱いの範囲について

 「法の下の平等」を定める憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。

3 具体的検討

 そして、本件区別は、「準正子」か、「父母が内縁関係にある非嫡出子」かによるものであるところ、憲法14条1項の「後段列挙の事項は例示的なものである」ため、このような、後段列挙事由以外の理由に基づく区別であっても、憲法14条1項違反の問題は生じる。そして、その合理性審査の密度については、①差別の基礎事由や、②被侵害利益、③裁量の広狭等を考慮して、決定すべきであるところ、父母の婚姻により準正子になるか否かは「子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄」であって、「このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては、慎重に検討することが必要である」。また、②「日本国籍は、我が国の構成員としての資格であるとともに、我が国において基本的人権の保障、公的資格の付与、公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位」であり、日本国籍を得られないという不利益は大きい。他方で、③憲法10条は、国籍取得の要件をどのように定めるかについて「立法府の裁量判断」にゆだねているということに鑑みれば、「日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別」が立法府裁量権を考慮しても「そのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合、又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合に」限り、「当該区別は、合理的な理由のない差別として」憲法14条1項に違反するものと解すべきである。

 ここで、国籍法3条1項が、国籍法の「基本的な原則である血統主義を基調としつつ、日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設け、これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとした」のは、「同項制定当時の社会通念や社会的状況の下では父母の法律上の婚姻を『父との家族生活を通じた我が国との密接な結び付きの存在を示すもの』としていたためであるところ、それには「相応の理由」があるといえる。また、当時の諸外国における国籍法制の傾向にかんがみても、「認知に加えて準正を日本国籍取得の要件としたことには、上記の立法目的との間に一定の合理的関連性があった」といえる。

 他方で、「家族生活や親子関係の実態からの社会通念および社会的状況の変化に加え、国際化の進展に伴った国際的交流の増大、『我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約』の諸規定や諸外国の法制による差別解消の傾向といった我が国を取り巻く国内的、国際的な社会的環境等の変化に照らしてみると、準正を出生後における届出による日本国籍取得の要件としておくこと」はもはや合理的ではないのではないかと思われる。このことに、日本国籍の取得の可否に関する「差別的取扱いによって子の被る不利益は看過し難いもの」であることを併せ考えると、「このような差別的取扱いについては、前記の立法目的との間に合理的関連性」を見出し難いといわざるを得ない。

 それゆえ、「国籍法が、同じく日本国民との間に法律上の親子関係を生じた子であるにもかかわらず、…父母の婚姻という、子にはどうすることもできない父母の身分行為が行われない限り、生来的にも届出によっても日本国籍の取得を認めないとしている点は、今日においては、立法府に与えられた裁量権を考慮しても、我が国との密接な結び付きを有する者に限り日本国籍を付与するという立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しくえる手段を採用して」おり、よって、「不合理な差別を生じさせているものといわざるを得ない」。

4 国籍法3条1項の「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子」を区別して取扱う部分のみを無効とすることの可否

(1) 「憲法14条1項に基づく平等取扱いの要請と国籍法の採用した基本的な原則である父母両系血統主義とを踏まえれば」、本件のように、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子」を区別して取扱うことが憲法14条1項に反すると判断されるに至った場合には、「血統主義を基調として出生後における日本国籍の取得を認めた同法3条1項の規定の趣旨・内容を等しく及ぼす」べく、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子」を区別して取扱う部分のみを無効なものとするほかはない。

(2) ここで、このような法律の一部無効の判断は、裁判所による立法作用を肯定することになり、国会による立法権を侵害するものとして、許されないのではないかが問題となる。もっとも、それが立法者の合理的意思に反しない場合には、裁判所による法律の一部無効の判断は、立法権の侵害とは言えないため、許容されるものと考えるべきである。

 これを本件について見ると、準正子の届出による国籍取得をも否定することは「血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり、立法者の合理的意思として定し難い」一方、上記のように、「憲法14条1項に基づく平等取扱いの要請と国籍法の採用した基本的な原則である父母両系血統主義とを踏まえ」、「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子」を区別して取扱う部分のみを無効とすることは、立法者の合理的意思に沿った理解であるといえる。 ※ このような解釈は「本件区別による不合理な差別的取扱いを受けている者に対して直接的な救済のみちを開くという観点からも、相当性を有するもの」である。

(3) よって、一部無効の判断は、裁判所が法律にない新たな国籍取得の要件を創設し、「国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されない」ものではない。

4 結論

 よって、国籍法3条1項は、憲法14条1項に違反するものであるから、上記の通り過剰部分については無効とされるべきである。

 

百選27 嫡出性の有無による法定相続分差別

1 意見の要旨

 民法900条4号但書の規定は、嫡出性の有無による法定相続分を差別するものであり、憲法14条1項に反し、無効である。

2 憲法14条が許容する別異取り扱いの範囲について

 「法の下の平等」を定める憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。

3 具体的検討

 そして、本件区別は、嫡出子か、非嫡出子かという理由に基づくものであるところ、憲法14条1項の「後段列挙の事項は例示的なものである」ため、このような、後段列挙事由以外の理由に基づく区別であっても、憲法14条1項違反の問題は生じる。そして、その合理性審査の密度については、①差別の基礎事由や、②被侵害利益、③裁量の広狭等を考慮して、決定すべきであるところ、①嫡出子たる身分を取得できるか、できないかは、本人の努力によっても変えることのできない事柄である。また、②確かに、本件規定は遺言等による相続人の相続分の指定等がない場合の補充的な規定であるが、このような規定は、その者の得られる財産に差をもたらすものである。もっとも、③相続制度は、被相続人の財産を誰に、どのように承継させるかを定めるものであるところ、相続制度を定めるに当たっては、それぞれの国の伝続、社会事情、国民感情なども考慮されなければならず、さらに、現在の相続制度は、家族というものをどのように考えるかということと密接に関係しているのであって、その国における婚姻ないし親子関係に対する規律、国民の意識等を離れてこれを定めることはできないのであって、これらを総合的に考慮した上で、相続制度をどのように定めるかは、立法府の合理的な裁量判断に委ねられているものというべきである。したがって、立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても、そのような区別をすることに合理的な根拠が認められない場合には、当談区別は、14条1項に違反するものと解するのが相当である。

 以上に従い、本件を検討する。まず、24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と定め、同条2項は「配偶者の選択財産権相続、住居の選定、離婚並びに嬋姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。」と定めている。これを受けて、民法739条1項は、「婿姻は、戸籍法…の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」と定め、いわゆる事実婚主義を排して法律婚主義を採用している。とすれば、法律婚制度の尊重という目的は、憲法適合的な目的であり、少なくとも正当な立法目的であったことは明らかである。 ※ 一方、非嫡出子の保護を図ったものであるとの目的は、本件規定の存在自体がその出生時から嫡出でない子に対する差別意識を生じさせかねないのであって、正当な立法目的であるとはいい難い。

 一方、前記の通り、法律婚主義の下においても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分をどのように定めるかということについては、立法府により、その国における婚姻ないし親子関係に対する規律、国民の意識等を総合的に考慮して決されなければならず、さらに、これらの事柄は時代と共に変遷するものでもあるから、その定めの合理性については、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され、吟味されなければならないところ、昭和22年民法改正時から現在に至るまでの間の社会の動向、我が国における家族形態の多様化やこれに伴う国民の意識の変化、諸外国の立法のすう勢及び我が国が批推した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘、嫡出子と摘出でない子の区別に関わる法制等の変化等を総合的に考察すれば、家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであるといえる。そして、法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても、上記のような認識の変化に伴い、上記制度の下で父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、子を個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる。以上を総合すれば、立法府裁量権を考慮しても、遅くとも平成13年7月の時点においては、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。

 よって、本件規定は、Aの嫡出でない子であるXらを不合理に「差別」するものであるといえるため、「この憲法…の条規に反する法律」として「効力を有しない」ことになる。

4 結論

 以上より、民法900条4号但書の規定は、嫡出性の有無による法定相続分を差別するものであり、憲法14条1項に反し、無効である。

よって、YらとXらの相続分は等しいものとしてAの遺産の分割をすべきものである。

 

百選28 再婚禁止期間違憲判決

1 意見の要旨

 女性にのみ再婚禁止期間を設けた民法733条1項の規定は、100日を超える部分については、憲法14条1項及び憲法24条2項に反するものであるといえるため、この部分については無効と解すべきである。

2 憲法14条が許容する別異取り扱いの範囲について

 「法の下の平等」を定める憲法14条1項は、事柄の性質に応じた合理的な理由がない限り、差別的取り扱いを禁止する趣旨である。したがって、別異取り扱いが合理性を有する限り同項に違反するものではない。

3 具体的検討

(1) 区別的取扱いについて定めた法律の合理性審査の密度については、①差別の基礎事由や、②裁量の広狭、③被侵害利益等を考慮して、決定すべきである。

(2) ①本件区別は、女性か、男性かという、後段列挙事由に基づくものである。②婚姻及び家族に関する事項は、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ、それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって定められるべきものであるのであって、その内容の詳細については、憲法が一義的に定めるのではなく、法律によってこれを具体化することがふさわしいものと考えられ、その際立法府には裁量が認められる。もっとも、憲法24条2項は、婚姻及び家族に関する事項について、具体的な制度の構築を第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに、その立法にあたっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請、指針を示すことによって、その栽量の限界を画したものといえる。③そして、同条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」と規定しており、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものと解される。そして、婚姻は、これにより、配偶者の相続権(民法890条)や夫婦間の子が嫡出子となること(同法772条1項等)などの重要な法律上の効果が与えられるものとされているほか、近年家族等に関する国民の意識の多様化が指摘されつつも、国民の中にはなお法律婚を尊重する意識が幅広く浸透していると考えられることをも併せ考慮すると、上記のような婚姻をするについての自由は、24条1項の規定の趣旨に照らし、十分尊重に値するものと解することができる。そうすると、婚姻制度に関わる立法として、婚姻に対する直接的な制約を課すことが内容となっている本件規定については、その合理的な根拠の有無について以上のような事柄の性質を十分考慮に入れた上で検討をすることが必要である。そこで、本件においては、上記の考え方に基づき、本件規定が再婚をする際の要件に関し男女の区別をしていることにつき、そのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠があり、かつ、その区別の具体的内容が上記の立法目的との関連において合理性を有するものであるかどうかという観点から憲法適合性の審査を行うのが相当である。

(3) 以上に従い本件を検討する。

ア 本件規定の立法目的は、女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解するのが相当であり、父子関係が早期に明確となることの重要性に鑑みると、このような立法目的には合理性を認めることができる。

イ 他方、父子関係の確定を科学的な判定に委ねることとする場合には、父性の推定が重複する期間内に生まれた子は、一定の裁判手続等を経るまで法律上の父が未定の子として取り扱わざるを得ず、その手続を経なければ法律上の父を確定できない状態に置かれることになる。生まれてくる子にとって、法律上の父を確定できない状態が一定期間継続することにより種々の影響が生じ得ることを考慮すれば、子の利益の観点から、上記のような法律上の父を確定するための裁判手続等を経るまでもなく、そもそも父性の推定が重複することを回避するために再婚禁止期間を設けること自体には、合理性が認められるものであるといえる。

(ア) そして、民法772条2項は、「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から 300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」と規定して、出産の時期から逆算して懐胎の時期を推定し、その結果婚姻中に懐胎したものと推定される子について、同条1項が「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」と規定しているが、女性の再婚後に生まれる子については、計算上100日の再婚禁止期間を設けることによって、父性の推定の重複が回避されることになる。このように、夫婦間の子が嫡出子となることは婚姻による重要な効果であるところ、嫡出子について出産の時期を起点とする明確で画一的な指針から父性を推定し、父子関係を早期に定めて子の身分関係の法的安定を図る仕組みが設けられた趣旨に鑑みれば、父性の推定の重複を避けるため上記の100日について一律に女性の再婚を制約することは、婚姻及び家族に関する事頂について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものではなく、上記立法目的との関連において合理性を有するものということができる。よって、本件規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は、X1を「差別」するものではない。

(イ) 他方、医療や科学技術が発達した今日においては、父子関係を確定するための医療や科学技術も未発達であった状況の下において、再婚後に前夫の子が生まれる可能性をできるだけ少なくして家庭の不和を避けるという観点や、再婚後に生まれる子の父子関係が争われる事態を減らすことによって、父性の判定を誤り血統に混乱が生ずることを選けるという観点から、再婚禁止期間を厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間に限定せず、一定の期間の幅を設けることを正当化することは困難になったといわざるを得ない。加えて、昭和22年民法改正以降、我が国においては、社会状況及び経済状況の変化に伴い婚姻及び家族の実態が変化し、特に平成期に入った後においては、晩婚化が進む一方で、離婚件数及び再婚件数が増加するなど、再婚をすることについての制約をできる限り少なくするという要請が高まっている事情も認めることができる。また、かつては再婚禁止期間を定めていた諸外国が徐々にこれを廃止する立法をする傾向にある。婚姻をするについての自由が24条1項の規定の趣旨に照らし十分尊重されるべきものであることや妻が婚姻前から懐胎していた子を産むことは再婚の場合に限られないことをも考慮すれば、再婚の場合に限って、前夫の子が生まれる可能性をできるだけ少なくして家庭の不和を避けるという観点や、婚姻後に生まれる子の父子関係が争われる事態を減らすことによって、父性の判定を誤り血統に混乱が生ずることを避けるという観点から、厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間を超えて婚姻を禁止する期間を設けることを正当化することは困難である。他にこれを正当化し得る根拠を見いだすこともできないことからすれば、本件規定のうち 100日超過部分は合理性を欠いた過剰な制約を課すものとなっているというべきである。以上を総合すると、本件規定のうち100日超過部分は、婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものとして、その立法目的との関連において合理性を欠くものになっていたと解される。

ウ よって、その限度で、本件規定は、X1を「差別」するものとして、憲法14条1項に反するものと解すべきである。

(※4 そこで次に、本件規定を改廃しないことが「違法」となるかが間題となる。

(1) 国家賠慣法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個々の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反して当賅国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものであるところ、国会議員の立法行為又は立法不作為が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題であり、立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきものである。そして、上記行動についての評価は原則として国民の政治的判断に委ねられるべき事柄であって、仮に当核立法の内容が憲法の規定に違反するものであるとしても、そのゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに国家賠慣法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。もっとも、法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合などにおいては、国会議員の立法過程における行動が上記職務上の法的義務に違反したものとして、例外的に、その立法不作為は、国家賠償法1条1項の規定の適用上「違法」の評価を受けることがあるというべきである。

(2) これを本件についてみると、Xらが婚姻届を提出した平成元年3月7日当時、法律の規定が憲法上保隊され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であったとはいえない。

(3) よって、本件規定を改廃しないことが「違法」とはいえない。)